死にたい、ですか 村上しいこ(著) 小学館 (2021/7/6)

自死遺族の苦悩と葛藤をリアルに描く衝撃作

人見由愛の兄・典洋が高校でのいじめに耐えられず、自ら命を絶ってから4年後の家族の物語。

由愛は高校3年。

兄の心の声に気づけなかった自分を責めながらも、親友の三葉に救われながら前向きに生きている。

母親の伊代は今も息子の死を受け入れられず、無念をはらそうと裁判を起こす。

家庭も仕事もうまくいかない父親はアルコールに依存。

家族は崩壊寸前だった。

一方、伊代からの依頼で典洋の裁判を取材することになった新聞記者・大同要もまた、自身のトラウマと葛藤し、カウンセリングに通う日々。

記者として裁判を傍聴するうち、次第に人見一家に深入りしていく。

そして由愛のまっすぐな生き方に、要のかたくなな心も動き始める。

裁判では、典洋をいじめた首謀者の同級生、当時の担任、顧問、かつては典洋の親友でもあった由愛の初恋相手の翔が、証言台に立っていく。

誰一人いじめを認めないまま淡々と続く裁判。

このままでは何一つ変わらない、私たち家族が沈んでいくだけ、と悟った由愛は、ある重大な決意をするが……。

文庫化にあたり、お笑いタレントの白鳥久美子氏が巻末解説を特別寄稿。

いじめを経験したからこその視点で物語を読み解く。

【編集担当からのおすすめ情報】
やり場のない悲しさと怒りを抱えながらも、希望の光に手を伸ばし続ける由愛たちの物語は、まるで、今という時代を生きる私たちへのメッセージのようです。
児童文学のベストセラー作家、野間児童文芸賞受賞の著者は、自身も壮絶ないじめ、虐待の被害者でした。その経験、熱い想いを、一般文芸デビュー作の本作に込めてくださいました。
いじめ遺族の問題に切り込んだ意欲作、待望の文庫化です。
いじめ被害の経験を持つ、白鳥久美子さんの解説原稿も胸に迫ります。


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