お酒だけじゃない!「脂肪肝」に“直結”しやすい食べ物・飲み物【医師が解説】
脂肪肝というと、少し前まではお酒が好きな人の病気と思われていました。
しかし、お酒を飲まないからといって油断はできません。アルコールを原因としない脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝炎/NAFLD)もあり、放置すれば肝炎→肝硬変→肝がんへと進行していく恐れがあるからです。
脂肪肝の予防・早期発見のために知っておきたい「食生活のポイント」を見ていきましょう。
みなと芝クリニック院長・川本徹医師が解説します。
目次
「糖質過多の食生活」は肝臓への負担大
肝臓はただでさえ働き者なのですから、できるだけ負担をかけないようにしたいものです。
私たちがお酒を飲むとき、体の中に入ったアルコールのほとんどは肝臓で解毒され、体の外へ排出されています。
習慣的に多量にお酒を飲み続けることでアルコールの分解に肝臓が酷使され、脂肪の分解が追いつかなくなり脂肪肝になります。
アルコールの分解だけでなく、同じく糖質過多の食生活も肝臓に大きな負担をかけます。
糖質が効率のよいエネルギー源であるというのはまちがいありません。
糖質にはタンパク質節約作用もあり肝機能の修復に欠かせないものとなっています。
また肝臓の抵抗力を高める作用もあります。
「体に良さそうな健康飲料」を飲んでる人に意外と多いのが「脂肪肝」。おそらく元凶は果糖ブドウ糖液糖。果糖は脂肪肝を強烈に促進するからボディブローのようにじわじわと肝臓にダメージを与えてしまう。どんなに健康に良さそうなパッケージでも果糖が入ってたら常飲するものじゃないのでご注意を?? pic.twitter.com/fMOGQpGKTN
— まつざき??分子栄養学 (@s_matuzaki) July 29, 2022
糖質を摂るときは「量」と「食べ方」に注意
しかし糖質をとり過ぎると肥満を招きやすいことも確かです。
たんぱく質や脂質と比べて吸収速度が速い栄養素であり、食後血糖値が急激に上がると、体内でインスリンが大量に分泌され、脂肪を溜めこみやすくなってしまうため、糖質を摂る際には量と食べ方の両方に気を付けたいものです。
よくいわれるのが野菜から食べ始めて食物繊維をお腹に入れてから、炭水化物などの主食を食べましょうという“食べ順”です。
糖質は食物繊維や脂質と一緒に摂ると食後血糖値の上昇が穏やかになることが知られています。
要は糖質を空腹時にいきなり食べないことがポイントです。食べ順では、とにかく「糖質の多いものは後回し」と覚えておくといいでしょう。
ゆっくり、よく噛んで食べると食後血糖値の急上昇を防いで、かつ満腹感を得やすくなりますので、ぜひ実践してください。
危険です。お酒を毎日飲むのは極めて良くありません。肝臓がアルコールを分解し続けて休む暇が無いので、肝機能が悪化します。僕は一時期ストロングゼロ500mlを毎日2缶飲んで、脂肪肝と診断されて治すのに10年かかりました。完全にアル中でした。休肝日を週に2日以上は取るようにしましょう。
— ふっしー|ストレスフリーのプロ (@fussy_free) July 30, 2022
ジュースや果物…この飲み物・食べ物は摂っていい?
「甘い液体」は特に脂肪肝に直結しやすい
その他に特に脂肪肝に直結しやすいのはジュースや清涼飲料水、缶コーヒーなどの甘い液体で糖質を摂り過ぎてしまうことです。
噛むことも分解も必要なく、すぐに吸収されやすいので太るリスクが高くなります。
商品の成分表に「果糖ぶどう糖液糖」や「ぶどう糖果糖液糖」と記載のあるものは、摂り過ぎないようにしましょう。
これは摂っていいのかとよく聞かれる飲み物・食べ物について考え方や摂り方のポイントをまとめました。
参考にしてください。
清涼飲料水…「500mLのジュースを1日1本」だけで糖質オーバー
アルコールは一切飲まないけれど、ジュースなどの果糖飲料をよく飲んでいるという人は、脂肪肝の可能性大です。
ある観察研究において果糖を含む清涼飲料水を毎日摂取することでNAFLD*患者の肝線維化がより進行することが示されています(NAFLD…日常的にアルコール摂取がない、あるいは少ない人にみられる脂肪肝)。
たとえばコーラ500mLには砂糖が56.5g、これはお茶碗一人前の糖質量と同程度です。
オレンジジュース500mLには55g、缶コーヒーには16g(190mL中)。
1日の砂糖の摂取量は25g/日が目安といわれていますので、ジュース500mLを1本飲めば、軽く超えてしまいます。
せっかく食事で糖質をコントロールしても、努力が水の泡となってしまいます。
その他糖質ゼロの甘味料や低カロリー飲料は、カロリーは低くても、インスリン分泌を促すという報告もあります。
総じて、甘い飲み物の摂り過ぎは避けたほうが良いでしょう。
フルーツ…ヘルシーだけど果糖たっぷり。食べるなら「朝」がおすすめ
フルーツは、食物繊維やビタミン、ミネラルなどが豊富なヘルシー食材ではあるのですが、果糖がたっぷり含まれています。
果糖単体では、血中インスリンを上昇させる作用が小さいといわれていますが、糖質であることには違いなく、砂糖と同じだけのエネルギー量があります。食べ過ぎれば、体重や中性脂肪が増えていきます。
フルーツを食べるなら朝にしてエネルギー消費量が減る夜にたくさん食べるのは控えましょう。
コーヒー…肝臓病の進行を防ぐかもしれない?
以前からコーヒーの摂取は、糖尿病などの生活習慣病のリスクを低下させることが知られていました。
国立がん研究センターの研究において、
「コーヒーを摂取する群において、全死亡リスクおよび心疾患、脳血管疾患および呼吸器疾患による死亡リスクが減少した」
「1日3~4杯飲むグループの死亡リスクが最も低くなっていた」
と報告しています。
またコーヒーをほとんど飲まない人と比べ、ほぼ毎日飲む人では、肝がんの発生率が約半分に減少し、1日5杯以上飲む人では、肝がんの発生率は4分の1にまで低下していたとの報告もあります。
ただしコーヒーを多飲することが肝がんの発生率の低下に直結するかどうかは、さらなる研究によって確認が必要です。
コーヒーと脂肪肝の研究ではどうかというと、いくつかの研究で、コーヒーの摂取は肝線維化の進行を抑制するとの報告があります。
仕組みとしてはコーヒーに含まれるカフェインの肝保護効果や、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸の血糖値改善効果や抗炎症作用が、何らかの理由で肝線維化の抑制に寄与しているのかもしれません。
フルーツ業界の方の多くが誤解していること
・フルーツに含まれる糖は果糖がメインだ→脂肪肝になる
・フルーツは、お菓子やソフトドリンクと同じ嗜好品→太りやすい業界の方にも数多く講演をしてきましたが、多くの方が、フルーツを知らない、メディアや医療関係者の影響を強く受けています pic.twitter.com/goSxXQb0WC
— 中野瑞樹@体を張るフルーツ研究家|4600日超の果食実験|水お茶なしフルーツ中心に99%以上果実だけ (@mizuki_nakano) August 1, 2022
ネットの声
「検診で渡された清涼飲料水のパンフに角砂糖に換算した数を見て驚愕しました。ポカリや飲むヨーグルトでも相当な量でした。果物でも然り。グレープフルーツやレモンなんかはOK。 50過ぎたら塩分、糖質、脂質は考えないといけないです。フラットフラッシュ!」
「自分もアルコールは殆ど飲まないけど、甘い物が好きなので結果的に太るんだよな。
あと、コーヒーに関してはこれブラックで飲まないと意味が無いんだよね。缶コーヒーとか砂糖入れたコーヒーだと結果的に糖分取り過ぎになりかねないと思うんだけど違うんかな。」「記事では触れられてないけど、「果糖ぶどう糖液糖」は中性脂肪に変わりやすいらしい。
世の中の甘いものには大抵含まれてるから避けようがないけどねw
甘いものを我慢するしか。」