「牛乳」「豆乳」「アーモンドミルク」毎日飲むならどれ?

牛乳、豆乳、アーモンドミルク。

いずれも健康によさそうな飲み物ですが、毎日飲むのであれば、どれがよいのでしょうか

健康のために乳製品を毎日、意識して取っている人も多いと思います。

最近では、豆乳やアーモンドミルクといった植物性の飲料を好んで飲む人も増えていますが、牛乳も依然として、根強い人気があるようです。

ネット上では

「美容にいいと聞いて、豆乳を毎日飲んでいる」
「アーモンドミルクを飲み始めてから便通がよくなった気がする」
「カルシウムが取れるから、やっぱり牛乳がいい」

など、味の好みや期待する効果は人それぞれですが、

「どれが一番体にいいのかな」
「カロリーが気になる」
「毎日飲み続けても問題ない?」

などの疑問も上がっています。

健康のために毎日飲むなら、牛乳と豆乳、アーモンドミルクのうちどれがよいのでしょうか。

牛乳と豆乳、アーモンドミルクの3つについて、栄養素以外の特徴は?

これら3つの原材料や製法、風味、飲みやすさなどは次の通りです。

【牛乳】

日本では、成分を調整していない100%の生乳を原料とし、加熱殺菌したものが『牛乳』とされています。

生乳から乳脂肪分を一部取り除いて、0.5%以上1.5%以下にしたものが『低脂肪牛乳』、生乳からほとんど全ての乳脂肪分を取り除いて0.5%未満にしたものが『無脂肪牛乳』です。

一般的には、乳脂肪分が多いと濃厚でまろやかに感じます。

【豆乳】

大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮詰めた汁から、『おから』を除いた乳状の液体です。

クリーム色のように少しだけ黄みがかっています。

味は原料が大豆のみの無調整豆乳であれば、豆腐とほぼ同じで、大豆の風味をダイレクトに感じられますが、飲みづらいと感じる人もいます。

調整豆乳は飲みやすくするために植物油や砂糖、塩などを加えて味を調えており、大豆の風味やクセが弱くなっています。

飲み口も無調整豆乳よりまろやかです。

【アーモンドミルク】

アーモンドを原料に作る植物性の飲料です。

水に浸したアーモンドを砕き、ろ過して作られます。

アーモンドの細胞壁を砕いて液状にしているため、そのまま食べるよりも栄養素が吸収されやすいメリットがあります。

白色をしていますが、牛乳や豆乳よりもサラッとした飲み心地で、自然な甘さと香ばしさが特徴です。

3つそれぞれに含まれる栄養素の特徴

牛乳は各種栄養素がバランスよく含まれている“準完全栄養食品”です。

3大栄養素のタンパク質、脂質、炭水化物に加え、日本人の食生活に不足しがちなカルシウムなどのミネラルやビタミンA、B2などを豊富に含んでいます。

豆乳にはタンパク質やオリゴ糖、カリウム、マグネシウムなど多くの栄養素が含まれていますが、大きな特徴は『大豆イソフラボン』という成分です。

大豆イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)と分子構造が似ているため、“植物性エストロゲン”とも呼ばれ、生理周期の乱れを整える働きや骨粗しょう症予防、美肌効果が期待されます。

そして、アーモンドミルクには抗酸化物質のビタミンEが豊富に含まれています。

ビタミンEは活性酸素を除去してくれるので病気の予防だけでなく、アンチエイジング効果も期待できます。

また、コレステロールが含まれないことも特徴です。

カルシウムやカロリーについて

カルシウム(100ミリリットルあたり)は豆乳(無調整)15ミリグラム、アーモンドミルク30ミリグラムに対して、牛乳は110ミリグラムと最も多く含まれています。

牛乳のカルシウムは小魚や野莱のカルシウムより吸収されやすいことも特徴です。

一方のカロリー(100ミリリットルあたり)は牛乳67キロカロリー、豆乳46キロカロリーに対し、アーモンドミルク24キロカロリーと最も低カロリーです。アーモンドミルクが好まれる理由の一つです。

摂取し過ぎによる弊害

毎日飲む場合の適正量

成人女性の健康を害するカルシウム量は1日2500ミリグラムとされていますが、これを牛乳に置き換えると約2リットルもの量になります。

牛乳を毎日2リットル飲む人はなかなかいませんが、とはいえ、牛乳には脂肪も含まれ、豆乳やアーモンドミルクよりカロリーは高めなので、飲み過ぎには注意が必要です。

1日の適量は200~400ミリリットルでコップ1~2杯です。

カルシウムやビタミン類は積極的に摂取したい栄養素ですが、1日の全体の食事バランスを考えるとこれくらいの量が適正で、それ以上の摂取は食事バランスを乱し、カロリーオーバーにつながる可能性が高いです。

豆乳の飲み過ぎにも要注意です。女性ホルモンの『エストロゲン』『プロゲステロン』はバランスを取りながら保たれているのですが、イソフラボンはエストロゲンと似た作用を持つため、イソフラボンの取り過ぎはホルモンバランスの崩れにつながる恐れがあります。

また、子宮内膜症や乳がんの発症、再発リスクを高めることも示唆されています。

内閣府の食品安全委員会の報告によると、大豆イソフラボンの安全な1日の摂取目安量の上限は1日70~75ミリグラムです。

豆乳コップ1杯(200ミリリットル)で約50ミリグラムのイソフラボンが摂取できるので、食事で他の大豆製品も摂取すると考えると、1日にコップ1杯程度が目安でしょう。

最後にアーモンドミルクですが、1日に食品から取るビタミンEの目安量は6~6.5ミリグラムです。

市販品に含まれるビタミンEの量がだいたい5~10ミリグラムなので、1日あたりコップ1杯(200ミリリットル)が目安量です。

過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量『耐容上限量』は650~700ミリグラム(成人女性の場合)とされています。

ビタミンEの過剰摂取によって、骨粗しょう症のリスクが高まることから、厚生労働省が日本人の食事摂取基準(2020年)で示した値です。

それぞれ、毎日飲むことによる副作用や問題点は特にありませんが、目安量を超えて毎日飲むと、マイナスの影響が出る可能性もあるので適量を守ることが大切です。

摂取するタイミングは

いつ取るかによって栄養的な意味が大きく変わるわけではありませんが、目的に合わせて、タイミングよく取ることはできます。

それぞれ朝に飲むと、空っぽの胃でしっかり栄養素が吸収され、栄養素の効果も発揮されやすくなります。

代謝のアップや、腸の運動が活性化し、排便を促すことにもつながるでしょう。

また、ダイエット中に小腹がすいたときや、おやつ代わりに食間に摂取するのもおすすめです。

牛乳については、朝に飲んだ場合は朝食時のみでなく、昼食時以降も血糖値の上昇が抑えられたという研究結果もあります。

生活習慣病予防や朝食を抜いてしまう人にはよい方法かもしれません。

ただし、成長期の子どもが牛乳を飲む場合、成長ホルモンの分泌が多くなる夜間に取るのがよいとされています。

成長ホルモンは入眠1時間半後くらいから出てくるとされているため、牛乳は寝る前の時間帯に飲むのがよいでしょう。

それぞれどのような人におすすめ?

牛乳は3つの中ではカロリーが高めですが、最もバランスよく栄養成分が含まれるので、成長期の子どもや朝食を抜きがちな働き盛りの世代、多くの栄養素が必要なアスリート、食が細くなってしまいがちな高齢者など老若男女におすすめです。

豆乳は大豆イソフラボンの効果を期待するなら女性、特にエストロゲンの分泌が不足する閉経後の女性におすすめです。

また、牛乳と同等程度のタンパク質も含まれるため、牛乳が苦手な人やカロリー、脂肪を気にする人が牛乳代わりに飲むのにもよいと思います。

アーモンドミルクは最もカロリーが低いので、ダイエット中のおやつ代わりにおすすめです。

ダイエット中は食物繊維も不足し、便秘を引き起こしてしまう人が多いです。

ダイエットしつつ、食物繊維や美容によいビタミンEを摂取する目的でも効果的です。

毎日飲む場合に最もおすすめなのはどれですか。

アレルギーや疾病のない健康な人であれば、最もバランスよく栄養素が含まれる牛乳をおすすめします。

3つの中では、味・風味ともに最も親しみがあるのではないでしょうか。

しかし、これらはカロリーや栄養成分がそれぞれ違うので、どのような目的で、どのような栄養分を摂取したいのかで体への影響は変わってきます。

自分にとって足りない栄養素は何なのか把握し、上手に利用しましょう。



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