【第15回中央公論文芸賞受賞作】
「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」。
突然かかってきた、妹からの電話。
両親の老いに直面して戸惑う姉妹と、それぞれの家族。
認知症の母と、かつて横暴だった父……。
別れの手前にある、かすかな光を描く長編小説。
「読み続けている数少ない作家さんのひとりですが年々文章のキレが増していて凄みさえ感じます。
必ず誰にでも訪れる老いとどう向き合うか、私も認知症の母を独りで看ていますので改めて考えさせられました。」「自分も親の介護をしています。
共感出来る部分もいくつか有りましたが、それぞれの人がそれぞれの立場からの気持ちを書いたという事で終わってしまっている。それ以上のものは無いと思います。その点がちょっと物足りなかったです。」「どの作品にも言えるけど、本作品も著者らしい言葉の選びかたが光る。
綺麗な文章でありながら、読ませる内容は今の作家では突き抜けている中の一人だと思う。
家族の在り方をそれぞれの立場を主人公にして描いている中で、誰もが家族の中での人間関係への後悔が垣間見れる。
これはこれで面白いのだけど、それぞれの主人公のその後が気になる。もっと誰かにしぼって、長い人生も見たい気がする。」
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