死にゆく者の祈り 中山七里 (著) 新潮社; 文庫版 (2022/3/28) 781円

死刑執行直前からの大どんでん返し! ?

絞首台へ向かう友の魂を救えるか――。

究極のタイムリミット・サスペンス! !

何故、お前が死刑囚に――。

教誨師の高輪顕真が拘置所で出会った男、関根要一。

それはかつて、雪山で遭難した彼を命懸けで救ってくれた友だった。

本当に彼が殺人を犯したのか。

若い男女二人を無残に刺殺したのか……。

調べれば調べるほど浮かび上がる、不可解な謎。無実の罪で絞首台に向かう友が、護りたいものとは――。

無情にも迫る死刑執行の刻、果たして教誨師の執念は友の魂を救えるのか。

人気沸騰中の“どんでん返しの帝王”による、予測不能・急転直下のタイムリミット・サスペンス。

「海外ミステリに親しんだ頭が久しぶりに日本版にリセットされるという衝撃に見舞われた。筋立ては先の書評子さんに詳しいが仏の世界で俗世の因縁から逃れられない若き僧侶の心の襞をとことん追いかけていく様に読み手も一緒になって悩むことになる。ミステリの約束事としては真犯人が突然自白するなどいささかドタバタの〆に物足りなさがあるが、それはどうでもいいことで、現代日本の若者がいかに生きるかを懸命に模索する純粋さがページから湧き上がってくる。いい本に出合えた。」

「正直、ラストのギリギリは「それは幾らなんでも間にあいっこないだろうよ」と思った事は否めない。「かつての友人」という立場より、もう少し「教誨師」としての立場の話が読みたかったかなあ。せっかく特殊な業務の話なのに、「親友」の方に比重が掛かってたから、多少の勿体なさが無きにしも非ず。概ね楽しんで読みました。」

「「親鸞聖人の宗教的告白といった性格を持つ経典」と言われている「正信偈」の偈文の意味合いを問答のように掛け合うシーンは印象的でした。「帰命無量寿如来 南無不可思議光」と門徒なら、口ずさめるものですが、その意味合いを本書で教えてもらった気がします。
それがクライマックスシーンで通奏低音のように流れている場面は、息も付かせぬような畳み掛ける演出がしてあり、読者を一気にストーリーの中に引っ張り込む剛腕を感じました。」


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