女のいない男たち 村上春樹(著) 文藝春秋 (2016/10/7) 748円

“これらを書いている間、僕はビートルズ「サージェント・ペパーズ」やビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」のことを緩く念頭に置いていた。”

著者が「まえがき」で記すように、これは緊密に組み立てられ、それぞれの作品同士が響きあう短編小説集である。

「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」「女のいない男たち」の6編はそれぞれくっきりとしたストーリー・ラインを持ちながら、その筆致は人間存在の微細な機微に触れる。

現代最高の作家がいまできること、したいこと、するべきことを完璧な形で成し遂げた作品集と言えるだろう。

「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」他全6篇。

最高度に結晶化しためくるめく短篇集。

村上 春樹
1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。
1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。

「「ドライブ マイ カー」の映画がとても面白かったので、原作は、どこまで書かれているのだろうという興味から、原作の村上春樹の短編集を読みました。村上春樹、久しぶりです。「ドライブ マイ カー」は、映画の方が、いろいろあって、面白かったです。原作は、あっという間に終わります。短編集の中では、何といっても、「木野」と言う作品が、後を引きます。こんなふうに終わってしまって、主人公はどうなるんだとすごく心配になるんですが、とにかく、不思議なことが起こる物語で、忘れられません。ゆっくり読みました。短編集なので、時間をかけて、読み進めても楽しめます。」

「以前、図書室で借りて読んでいましたが印象に残っていたのは『イエスタデイ』と『木野』でした。『ドライブ マイカー』はほとんど、思い出せませんでした。単行本だったので、表紙の猫と柳の木の絵は覚えていました。木野のバーがそれで印象的でした。
深い読み込みが私にはまだできませんが、比喩がいい、と思った箇所には今回は傍線を引いてみました。」

「昔よく読んだ村上春樹。短編ということもあり、手を出してみました。語り口とか設定とか、「ねむり」とか「レーダーホーゼン」に近い印象を得ました。鮮やかな色彩よりも灰色に近いイメージ。すごくしっくりときて、すごく集中して読むことができ満足です。」


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