昼寝が習慣になっている人は高血圧や脳卒中のリスクが高くなる!?

習慣的に「昼寝」をする人は高血圧や脳卒中のリスクが高くなる? 新たな研究で判明

アメリカ心臓協会の専門誌『Hypertension』に掲載された研究で35万8451人を調査しました。

新たな研究でわかったこと

定期的に昼寝をすると、高血圧や脳卒中のリスクを高めることが新たな研究でわかりました。

昼寝をすることは何の害もなさそうに思えるが、定期的に昼寝をするのは逆に健康を損ねている可能性があると、新しい研究で示唆されています。

アメリカ心臓協会の専門誌『Hypertension』に掲載された新しい研究で、しょっちゅう昼寝をする人は高血圧や脳卒中になる可能性が高いことがわかりました。

これは、長期間にわたって参加者を観察分析したものと、遺伝子リスク検証であるメンデルランダム化の両方を使って、昼寝の頻度と、高血圧と虚血性脳卒中の関係を調べた初めての研究です。

研究者は、UKバイオバンクのデータベースから高血圧や脳卒中でない35万8451人を調査。

これらの人々の昼寝の状況と、脳卒中あるいは高血圧の最初の報告との関係を分析し、その後平均して11年間フォローアップしました。

参加者は自己申告した昼寝の頻度をもとにグループ分けされました。

「絶対しない/滅多にしない」、「時々」、「たいていする」の3グループです。

その結果、「絶対昼寝をしない」人と比較すると、「たいていする」人は高血圧になるリスクが12%高く、脳卒中を発症するリスクが24%高かったのです。

また、60歳以下の人でたいてい昼寝する人は、同年代で絶対昼寝をしない人と比べて高血圧になるリスクが20%高かったことも発見。

60歳以上では、たいてい昼寝をする人は、絶対しない人と比べて、高血圧になるリスクが10%高くなりました。

絶対に昼寝をしない人と比べると

絶対に昼寝をしない人と比べると、たいてい昼寝をする人は高血圧になる可能性が12%高く、脳卒中になるリスクが24%高くなりました

絶対昼寝しないか時々する人と比べると、たいてい昼寝する人の多くは男性で、教育程度や収入レベルが低く、喫煙、毎日の飲酒の習慣があり、不眠、いびきをかく、夜型人間などと報告されています。

また、参加者の約4分の3は、研究期間中ずっとカテゴリー(絶対しない/時々する/たいていする)が変わらなかったのです。

メンデルランダム化では、昼寝の頻度が変化した場合(例えば、“絶対しない”から“時々する”や、“時々する”から“たいていする”に)高血圧リスクが40%に高まったことも明らかになっています。

こうした結果は、2型糖尿病や高血圧の持病、高コレステロール、睡眠障害のある人、夜のシフト勤務の人など高血圧症のリスクの高い人を除外しても変わらなかったのです。

研究では、この分析結果から、昼寝の頻度が高くなることが、本態性高血圧症のリスク要因の可能性があることを証明するものだと結論づけています。

昼寝の頻度の高さと虚血性脳卒中の因果関係は、観察分析とメンデルランダム化の両方によって、さらに裏付けられました。

アメリカ心臓協会がリリースした文書によると、中国の中南大学教授であり麻酔学部長のE・ワン博士は、「定期的あるいは日常的に昼寝を楽しんでいる人が非常に多いだけに、これらの結果は特に興味深い」と述べています。

夜によく眠れていないから…

「昼寝をすること自体に害はないが、夜よく眠れていないから昼寝をする人が多いことと関係があるかもしれない」

「昼寝自体は害のあるものではないが、おそらく、夜よく眠れないために昼寝をしている人が多いので、このような結果が出た可能性がある。睡眠不足は不健康につながり、昼寝をしただけではその埋め合わせはできない」

と、睡眠の専門家マイケル・A・グランドナー博士は言います。

マイケル博士は、心臓血管の健康度を採点する『Life’s Essential 8』の共著者でもある。(2022年6月、アメリカ心臓協会は『Life’s Essential 8』を最適な心臓と脳の健康を測定する8番目の測定基準として新たに加えた。)

「この研究は、より多く昼寝をするのは、一般的に、心臓や他の健康問題のリスクが高いことを反映している」と言います。

彼はSleep Health Research Program とBehavioral Sleep Medicine Clinic のディレクターで、ツーソンにあるアリゾナ大学精神科准教授でもあるが、この研究には関わっていません。

ただし、研究には限界があることを忘れてはならない。それを考慮に入れることが重要です。

例えば研究者は、昼寝の時間的長さではなく、頻度だけをデータとして集めたので、昼寝の長さが高血圧や脳卒中のリスクと関係があるのか、あるとすればどのような関係なのかについての情報はありません。

さらに、昼寝の頻度は客観的な測定法を用いない自己申告のため、評価を計れません。

また、参加者はほとんどがヨーロッパ系の中年?高齢者のため、結果を一般化することはできないかもしれません。

最後に、研究者はまだ昼寝が血圧調節や脳卒中に与える生物学的メカニズムを発見していないので、最終的な結論に至るまでにはさらなる研究が必要です。

この研究から確実にわかることは?

睡眠は心臓の健康に極めて重要だということ。

夜に熟睡できないと、それを埋め合わせようとして昼寝をするが、心臓は大きな打撃を受けたままです。

高血圧や脳卒中のさらなるリスクを避けるためには、夜は必要な時間数、熟睡して、昼寝は最小限に留めましょう。



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