Zの原点…誰もが憧れたカワサキZ1(900SuperFour)中古価格ものすごい…50年前のバイクだよ

後に「Z1」と呼ばれることになる新型車の開発は、1967年に始まったとされています。

当時のコードネームは「N600」。

その開発中の68年にホンダCB750フォアが登場します。

N600が目指していた量産車初の直列(並列)4気筒エンジンは先を越された形となってしまいました。

カワサキは負け時魂を発揮。

排気量を903ccまで拡大し、ツインカム(DOHC)ヘッドを与えたモデルとして1972年11月に発売したのが、900スーパー4でした(モデルイヤーは1973)。

今でこそZ1と呼んでいますが、当時は車種の名称ではなくカワサキ内での型式名だったのです。

どんなバイクだった?

後のモデルを知っていれば当りまえかもしれませんが、シートの後ろにテールカウルが存在すること(CB750フォアはフェンダーだった)、丸い燃料タンクの加工などは、当時のバイクとしては画期的なことでした。

さらに、最高速度200km/hを越えたことと併せて世界的なヒットモデルとなったのです。

国内向けには750ccモデルが設定され、Z2(ゼッツー)の名前で呼ばれていましたが、これも「750ロードスター(RS)」が正しい名称です。

カワサキのバイクに付けられる「Z」という名称。

これはもう知っての通り「最高にして最後のもの」という意味から付けられるようになりました。

まさにカワサキのバイクには「Z」の系譜が脈々と息づいているということですね。

そこからカワサキのZは世界最速を標榜することになります。

ちなみに「Z1」は、当時カワサキの開発車にステーキ名を付けていたことから、米国で「特大」を意味するニューヨークステーキからその愛称が付けらたということです。

気になるスペックは、4ストローク、903ccのDOHCエンジンを搭載。

82ps/8500rpmのパワーを誇っていました。

ゼロヨン12秒、最高速209km/h以上と、世界一のデータをたたき出すことに成功したのです。

最速と言えばマッハがありましたが、スピード重視であったためバイクの完成度は荒削りなものでした。

そういった面で、何よりも乗りやすくタンデムでも十分に高速巡航できるZ1こそが、カワサキの世界最速神話の始まりということですね(マッハがなかったことになっているという意味ではありません)。

現在のスーパースポーツと呼ばれているバイクのほとんどが、並列4気筒でDOHCエンジンということを考えると、その後のバイクの進むべき方向を決定づけたバイクとも言えます。

900SUPER4(Z1)のインプレッション

当時は単純に4本だしマフラーがかっこいいなと思っていたバイクです。

どこかで「世界一速いバイクだよ」と聞いたことがあるような。

ただ、当時走っていたバイクがカワサキ製だとわかっていても、それがZ1かどうかの判断がつきませんでしたね。

4本マフラーが強烈でそれを見たら単純にZ1だと思っていたのかも。

後で、海外仕様であることがわかり、(逆輸入車も少ない時代なので)Z1じゃなかったのかな…と思ってみたり。

なので、国内仕様のZ2(750RS)だったのかもしれません(おそらく間違いない…)。

それでも姿形は一緒ですから、4本だしマフラーってやっぱりかっこいいなと思っていました。

当時はどちらかというとグラマラスなボディのCB750のほうが好きだったんですけど、「最速」という言葉にも憧れを持ってましたね。

後年、試乗もできず店に飾ってあるZ1を見るくらいなものだったのですが、当時大きなバイクだなと思っていたのが、ZZRなどに慣れた今ではコンパクトなバイクだなと思いました。
※それでも車格はそれほど変わらないし重量もけっこうありました。なんでコンパクトなんて思ったんだろう。

目上の諸先輩方にZ1のことを聞くと…といってもZ1に乗っていたのは1人で、2人はZ2だったのですが。

当時はめちゃ速かったし、峠ではみんなが道を譲ってくれたそうです。

腕に自信はあってもギャラリーに見られていると、技量以上に気張ってしまって生きた心地がしなかったと言ってましたね。

それだけ、注目されていたバイクだったのでしょう。

実際、乗っているだけで視線を感じたし、ある意味「自慢」するために乗っていたとか…。

900SUPER4(Z1)のスペック

「900SUPER4(Z1)」のスペック一覧

 

車名 900 super4(Z1)
年式 1972年
指向地 US仕様
型式
全長 2,205mm
全幅 800mm
全高 1,150mm
軸間距離 1,490mm
最低地上高 160mm
キャスター 64°
トレール 90mm
エンジン種類 空冷4ストローク DOHC 2バルブ 並列4気筒
燃料消費率(定地燃費値) 17km/L(113km/h)
総排気量 903cc
内径 66mm
行程 66mm
圧縮比 8.5:1
最高出力 60.3kW(82ps)/8,500rpm
最大トルク 73.5N・m(7.5kgf・m)/7,000rpm
始動方式 セルフ・キック併用式
点火方式 バッテリー&コイル点火
潤滑方式 強制圧送式
エンジンオイル容量 4L
燃料供給方式 キャブレター(VM28SC)
トランスミッション形式 常時噛合式5段
クラッチ形式 湿式多板
ギヤ・レシオ1速 3.17
ギヤ・レシオ2速 2.19
ギヤ・レシオ3速 1.67
ギヤ・レシオ4速 1.38
ギヤ・レシオ5速 1.22
減速比(一次) 1.73
二次 2.33
フレーム形式 ダブルクレードル
懸架方式・前 インナーチューブ径φ36mm 正立フロントフォーク
懸架方式・後 スイングアーム,ツインショック
サスペンションストローク・前 140mm
サスペンションストローク・後 80mm
タイヤサイズ・前 3.25-19 4PR
タイヤサイズ・後 4.00-18 4PR
ブレーキ形式・前 Φ296mmシングルディスク&片押し1ピストンキャリパー
ブレーキ形式・後 機械式リーディング・トレーリング
ステアリングアングル・左 41°
ステアリングアングル・右 41°
車両重量 230kg(乾燥重量)
燃料タンク容量 18L
乗車定員(人) 2
最小回転半径 2.5m

混同してしまいがちなのが、W1の存在です。

W1の登場はZ1のもう少し前です。

こちらは英国車のトライアンフなどがライバルのバイクで今でも人気が高いですよね。

ただし、そのW1にしても熟成されたトライアンフには乗り味といった面でかなりの差を付けられていたのも事実。

同時期に出したのがマッハというバイクが、世界最速・最大排気量としてはZ1の前身と考えていいのですが、これもまだ荒削りであり、扱いやすさといった面ではまだまだ途上のバイクだったのです。

そういった面を乗り越えて出してきたのがZ1ということですね。

世界だけではなく、国内に目を向けてもホンダやヤマハ、さらにはスズキといったライバルもいました。

特に、国内でも競争は厳しく、先述したようにCB750FOURの登場は、カワサキには衝撃だったことでしょう。

後出しで、それよりもスペックの劣るバイクを出すのは耐えがたい屈辱でもあったのです。

そういった発憤材料もあって登場したのがZ1だったのです。

それから50年近く経った現在で、Z900RSが大人気です。

時代は繰り返す…と言いますが、それでもZ1を買い求める人もいるということですから(価格がすごいですが)、バイク乗りのカワサキ愛は果てしないですね。

みんなのインプレッション

「現在となっては走行性能は大した事無いが、必要十分以上の走りを見せてくれる。 よって、弱点と呼べるほどの弱点はない。 名車の名に違わず、素晴らしいバイクだ。但し、スピードを単に求める人にとっては価値を見出せないであろうと予想出来る。」

「憧れだけで購入するとエライ目に遭います。 保証付の店で150万円ぐらいのものしか、安心して乗れないと思います。僕の場合、車両が60万円、それから修理、交換などで150万はかかっています。他のZオーナーに聞いても同様ですから、最初からオーバーホール済みの車両のほうが結局お買い得です。」

「かっこいいというだけで憧れている方は、やめた方がいいよ。維持するの、すっごくたいへんですからね。これだけで、もう300万は、使いましたよ。」

「とても金がかかるの一言ですね。前の方も言ってますが、憧れだけでしたら、いっそゼファーの方がいいですよ。現状維持だけで、ウン百万使っちゃいましたよ。古いカワサキは、深みにはまりますよ。とてもかっこいいから・・・。」

「いろいろとたいへんですが、これ以上かっこよくて、時代を背負ったバイクは、もう2度と出てこないなと思ってます。カワサキは、男だけの物じゃないよ。男でも、似合う人達だけに乗って欲しいな。お願い、似合わない人は、乗らないで。(少し生意気な主婦)」

「正直なところもう、この単車から抜けられません。古き良き時代の空冷車が、こんなにも面白いとは、思いませんでした。特に、生活に余裕ができてきた30代後半から40代の方達、一度乗ってみたらいいかも?今の単車にはない、正直な、何かと出会えますかも?」



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