推し、燃ゆ 宇佐見りん (著) 河出書房新社 (2020/9/10)

【第164回芥川賞受賞作】

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」

朝日、読売、毎日、共同通信、週刊文春、ダ・ヴィンチ「プラチナ本」他、各紙誌激賞。

三島由紀夫賞最年少受賞の21歳、第二作にして第164回芥川賞受賞作

◎未来の考古学者に見つけてほしい
時代を見事に活写した傑作
――朝井リョウ

◎うわべでも理屈でもない命のようなものが、
言葉として表現されている力量に圧倒された
――島本理生

◎すごかった。ほんとに。
――高橋源一郎

◎一番新しくて古典的な、青春の物語
――尾崎真理子

◎ドストエフスキーが20代半ばで書いた
初期作品のハチャメチャさとも重なり合う。
――亀山郁夫

◎今を生きるすべての人にとって歪(いびつ)で、でも切実な自尊心の保ち方、を描いた物語
――町田康

◎すべての推す人たちにとっての救いの書であると同時に、絶望の書でもある本作を、わたしは強く強く推す。
――豊崎由美

逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。

アイドル上野真幸を“解釈“することに心血を注ぐあかり。

ある日突然、推しが炎上し??。

デビュー作『かか』は第56回文藝賞及び第33回三島賞を受賞(三島賞は史上最年少受賞)。

21歳、圧巻の第二作。

「タイトル通り、推しのアイドルが炎上する話。といっても真相を究明するミステリーのようなものではなく、主人公にとって推しがどういった存在なのか、主人公がどのような生活をしているのか、がひたすら描かれていきます。作中で診断名は明言されてはいませんが、主人公は明らかに発達障害であり、そこも本書の主要なテーマであると思います。私自身はアイドルに夢中になった経験はありませんが、周囲の当たり前についていけない惨めさ、推すという行為だけに人生の意味を集約してしまう主人公の行動に共感できました。ヘタにドラマチックな展開や救いを描かずに最後まで淡々とした日常が描かれているのも良いです。」

「私は小説を読まない。日経土曜日に紹介された本書は、私の子供がいつも何を考えているのかを知りたかったから購入しました。大学生である作者が同世代の高校生を描く、日常の描写が生々しいほどリアルである。発達障害の子どもがアルバイト先のオーナーとの関係や常連客との接客、学校で担任教師との会話では、私は現実に何度か経験した。よくもまあここまで自然に正確に書けるものだ。作者の筆力に脱帽である。アルバイトで小遣いで親兄弟から借りたお金で推し経済活動は大きなキャシュフローを生み日本独自の産業が成り立っている。主人公の女子高生は中退してしまったが、若いからまだチャンスがある。早く気づいて抜け出してくれないか。エンディングでは親の気持ちになって祈りたくなった。でも親は見守るくらいしかどうすることもできないんです。うちと同じだと共感し未来が見えないことに不安は続く。」

「久々にすごい本を読んだ。映画『ジョーカー』の系譜、というよりは収斂進化の先か。
痛々しく追い詰められていく主人公が気の毒でたまらなかった。バイト先で学校でトチってしまうあれこれ、誰でもできることが自分はできないの連続でしかない毎日のうまくいかなさ。それと対をなす「推し事」中の彼女の徹底した情報収集・分析っぷり。「才能の無駄遣い」?いいえこれぞ正統な活用です。みたいな彼女の人生。
その未来に明るさは正直見えない、明るさとか希望とかそういう次元の話ではない日常に回収されていく彼女だが、無性に応援したい気持ちでいっぱいになる。無根拠に「大丈夫だよ」って言ってやって、肯定して励ましてやりたい気持ち。なるほどこれが推しか。これが「かわいさ」というやつか。
電子書籍を買ったけどたぶん単行本も買うわ。本棚に欲しい。」


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