ホンダ・スカッシュは1981年に発売された50ccの2ストスクーターです。
1980年前後からバイクブームが始まり、たくさんの種類のスクーターが発売された中の1台です。
タモリのCMで話題に
普通の…というよりもかなり小振りなミニスクーターなのですが、知名度が高かったのはタモリがCMに出ていたからでしょう。
それと、シティにおまけで付いていた「モトコンポ」のスクーター仕様という位置づけである程度の人気がありましたね。
※モトコンポはオプションだったかも…単体価格は当時8万円
バリエーションも3つあって、スタンダード(キックのみ)、スタンダードのハンドル折りたたみバージョン、デラックス(セル付き)。
価格も当時10万円以内でした。
乾燥重量は46kg(スタンダード)でモトコンポよりも若干重たかったですね。
当時の月間販売目標が8000台…今を考えるとかなり強気の設定ですが、それだけ当時がバイクブームだったということでしょう。
実際にスタンダードのスカッシュに乗っていましたが、意外とたくさん街中を走っていた印象です。
乗って楽しいバイクだった
しょせんは原付スクーターで、馬力も3.0psでした。
※モトコンポの2.5psよりも大きい!
比較対象がモトコンポというのもどんぐりの背比べですが、思った以上にキビキビ走りました。
とはいっても、飛ばすバイクではないし、なんとか引っ張って50km/h出るかなって感じでしたよ。
法定速度は30km/hですから、十分ではあったのですが、問題は坂道でした。
上りませんでしたね。
上り坂を考えると、もう少し馬力が欲しいなってみんな考えていたはずです。
それでも、見た目もかわいくて走ってると周りの注目度がすごかったような気がします(気のせいかも…)。
乗り心地は…。
これはお世辞にも良いとは言えません。
原付スクーターを求めるなら、当時は、タクトといった高級スクーターがありました。
アクセルをひねっても、一呼吸置いてからヨロヨロっと走り出すような感じです。
そのため、多くのというよりもほとんどの人が足で蹴ってアシストしてましたよ。
クルマの邪魔にならないように左端を通るのは当然のこととして、近くのスーパーに買い物へ的な使い方がメインといっていいでしょう。
もっとも、がんばると10キロ超えるくらいからパワーバンドに入るので、そこからキビキビと…という感じでした。
そこはやっぱり2ストバイクですからね。
乗り心地に話を戻すと、全長がとにかく短すぎて直進安定性に欠けるんです。
ですから、乗り始めはどうしてもヨタヨタしてしまうんです。
これにもコツがあるんですけどね。
タイヤも小さくてギャップも拾うし、とにかく段差が怖かった思い出があります。
スカッシュを語ると欠点が多いように思えますが、そこは割り切る必要があります。
割り切ると、乗ってて楽しいバイクですよ。
その気になれば持ち上げることができるバイク。
なんといっても50kgないですから。
今時こんなバイクはありません。
作ろうとしても不可能でしょう。
アシスト自転車とかキックボード的なものならありそうですが…。
バイクという形では出ないでしょうね。
良い時代だった?
バイクブームの時代でしたから、いろいろなバイクが世に出ました。
スカッシュは数年で生産終了になったのですが、当時はこんな洒落たバイクを作る土壌がありましたね。
本当に良い時代でした。
そういえば、当時の原付一種はヘルメットが義務化されてなかったんですよ。
だからノーヘルで乗ってましたが、白バイにはよく注意されてましたね。
今では考えられませんが、タバコ吸いながら走る人もたくさんいましたよ…当然ポイ捨て…。
クルマのシートベルトも義務化されていなかった時代です。
今と比べたら、何か余裕があったというか緩かったというか、そんな時代でした。
ヘルメットはすぐに義務化され、シートベルトも義務化され、消費税が始まり…。
世の中がどんどん窮屈になっていったような…。
スカッシュ…と聞いて、何それ?スポーツ?という人が多いでしょう。
それでも、すぐに「ああホンダのバイクね…」という人がいたら思い出話に花が咲きそうです。