2021年1月に登場したホンダPCX。
2010年に登場したPCXは、発売10年を経てますます好調なセールスを続けています。
元々原付2種層は、使い勝手の良いスクーターが揃っていました。
中には“通勤快速”と呼ばれているスクーターもあります。
125ccスクーターは50cc原付からの乗り換え組と250ccスクーターからのダウンサイジング組なども吸収して、最近元気と言われているバイク業界にあって、元気モリモリなクラスです。
2021年のフルモデルチェンジ
このフルモデルチェンジは“意外”という声が多くあがりました。
その2年前にフレームまで新開発したモデルを発表していたからです。
そのモデルも販売が好調でしたから、どうしてわざわざフルモデルチェンジ?ということになりました。
Honda PCX
総排気量:124cc
エンジン形式:水冷4ストSOHC4バルブ単気筒
最高出力:12.5PS/8750rpm
最大トルク:1.2kgf・m/6500rpm
シート高:764mm
車両重量:132kg
発売日:2021年1月28日
メーカー希望小売価格:税込35万7500円
フルモデルチェンジで新たに4バルブ化されたエンジンは、最高出力で0.5psアップしています。
数値的にはたいしたことはありませんが、125ccクラスでは0.5psアップでもかなりの違いを感じることができます。
もっとも、前モデルをしっかり乗らないとその違いを見つけることは難しいかもしれませんが…。
その比較で言うと、発進加速は確実に軽やかになり、かつ力強くなりました。
これはピークパワーの差だけではなく、加速時の回転域のトルクアップにも言えます。
オートマチックの変速設定が絶妙で軽やかな加速は、まさに神領域というかホンダマジックといってもいいでしょう。
トルクアップによる力強さは、上り坂やタンデム時に実感します。
低速域はどうかというと、一般的にスクーターは低速に強いです。
PCXは特に遠心クラッチが低めの回転でスムーズに繋がっていく特性なので、超低速生きでもコントロールしやすくなっています。
そのため、交差点の右左折やUターンで、気を使わずに済みます。
逆に言うと、発進時の加速力を楽しむスクーターではないので、そこを期待すると肩すかしを食うかも。
そうはいっても、一般道ではクルマの流れをリードすることもできますし、信号待ちの先頭でも不安になることはありません。
高速域までスムーズに伸び、最高速は100km/hは余裕です。
↑もちろんこれは原付二種としてオマケの部分ですが…。
加速時の静粛性も高く、振動も少ないので快適そのもののクルージングができますよ。
トラクションコントロールが心地よい
今回新採用のトラクションコントロールです。
この効果を体感できるのは、道路端の砂のたまった部分や、マンホールの上などでしょう。
道路上にたまった砂も怖いですし、濡れたマンホールの上を通ると緊張しますよね。
それがPCXでは不安が限りなく小さくなるのです(100%ではありませんが)。
これは、誰が乗っても感動することは間違いないでしょう。
前のPCXでは、バンク中にギャップを通過するときやフロントブレーキをかけながら寝かし込むときに、車体がねじれる間食がありました。
これは、旋回性が微妙に変化するということです。
それが、新型PCXでは解消されています。
一般的にこういったことは、剛性アップや重さなどで安定性を担保することが多いのですが、単に剛性だけではなく、全体のバランスの良さを追究した形なのは間違いありません。
リアタイヤを13インチに
今回はリアタイヤが14インチから13インチに小径化されています。
これは、外形を小さくすることでその分ホイールトラベル量を増やすことが狙いです。
ホイールトラベルは、サスの動作によってホイールが動く最大移動量のことです。
新型PCXでは、これによってリアのストローク量が10mmアップしています。
これにより、1サイズ太いタイヤ幅でエアボリュームを増やし、衝撃吸収性能を上げることに成功しています。
乗り心地がアップしたことはもちろんですが、減速帯を通過するときなどのリアのドタバタ感をしっかりと抑えてくれますよ。
個人的には、リアフレームの形状変更で、シート下スペースが2リットル増量しています。
これは、見逃せないポイントでしょう。
さらに、リアブレーキがドラムからディスクに変更されています。
ここまでくると、次のモデルチェンジではABSも搭載してほしいところです。