『危いことなら銭になる』
登場するのは、宍戸錠、長門裕之、草薙幸二郎、浅丘ルリ子。
ぶっちぎりで面白い映画です。
ほんとうに超オススメの映画なんです。
アマゾンプライムで見ることができる
面白さという点ではトップクラス中のトップクラス。
現在(2021年5月6日)アマゾンプライムで見ることができますよ。
日々たくさんの映画が世界中で作られているので、新しめの映画を追うだけでも一苦労。
昔の映画を追ってる暇なんてないよ…。
そういう人も多いでしょう。
それでも、温故知新という言葉があるように、名作というものは色褪せません。
名作というと、日本映画では「ゴジラ」とか「東京物語」、「七人の侍」などが世界的な名声を得ています。
『危いことなら銭になる』は、そこまで世界に知られているわけではありません。
昭和30年代の日本映画全盛期…たくさんの映画が作られたうちの一本です。
もっとも、知る人ぞ知るというか『危いことなら銭になる』は名作中の名作です。
映画を見て、
「貴重な2時間を損した」「見るんじゃなかった…」
そんな経験をした人も少なくないでしょう。
この映画は自信を持って勧めることができます。
昔の映画だからクセがある…そのクセを楽しめる人なら間違いありません。
50歳以上の人ならある種の郷愁をもって見ることができるでしょう。
今の20歳代の若い人がこの映画を見てどのような感想を持つのか興味深いところです。
チャップリンがインタビューで「あなたの代表作は?」と聞かれて「ネクスト(次に作る映画)」と言ったのは有名な話。
だからといって過去の映画が悪いというわけではありません。
ちょっと時間が空いたな…そんなときに『危いことなら銭になる』は82分という短い尺です。
本当はもっと長く撮ろうとしたらしいのですが、映画会社(日活)から台本をもっと短くしろと指示を受けたそうです。
当時の映画は2本立て3本立てがあたりまえの時代です。
よほどのお金をかけた大作でもないかぎり、1本立てということはなかったのです。
ですから、B級映画(こういう言い方もあれですが…)は、できるだけ尺を短くしていました。
しかし、中平康は台本をカットすることなく全編を映画に組み込みます。
どうしたかというと、ジェットコースターのような展開。
とにかくアップテンポなのです。
役者のセリフもどこか早口…。
そんなところが見る人の目を釘付けにして最後まで一気に見せてくれるのです。
あらすじと登場人物
『危いことなら銭になる』はアクションコメディです。
簡単にあらすじをご紹介します。
映画冒頭で『紙』が盗まれます。
この『紙』がどういったものかというと、お金…紙幣を印刷するための『紙』なんです。
原板じゃないの?と思う人もいるでしょう。
しかし、原板をするための紙も特殊なものです。
偽札を作るのは原板も大切ですが、印刷する紙も大切なんですね。
その紙を盗もうとしたギャングと宍戸錠ら3人と浅丘ルリ子を含めた4人、そして原板づくりの名人(左卜全)のドタバタコメディなんです。
とにかく、登場人物のキャラが立ってます。
心地よいスピード感がまったく嫌じゃないですよ。
マシンガントークがあちこちで炸裂しますが、当時の役者さんはみんな滑舌がいいのでスッと頭の中に入ってきます。
ですから、スピード感があっても置いてきぼりにされることなく最後までしっかりついていくことができるのもうれしいところです。
当時の映画は面白い
昭和30年代前半の日活はこのようなコメディ路線を得意としていました。
「映画は娯楽…楽しめるものを」という思いからです。
しかし、アクション路線はそのままにどちらかというと30年代中盤以降は、コミカルな味は徐々に抑えられていきます。
宍戸錠も『『危いことなら銭になる』の前に公開された『硝子のジョニー 野獣のように見えて』で粗野な主人公を演じて新境地を開拓しています。
そのようなシリアス路線の中で登場したのが本作だったのです。
映画の中の宍戸錠の相性は「ガラスのジョー」。
ガラスをこすらすキーキー音が大の苦手なのです。
前作の『硝子のジョニー』をパロったのは間違いありません。
同時に宍戸錠の代名詞でもある『エースのジョー』もパロってます。
見ていて思い出すのが「これってルパン三世じゃない?」ということです。
モンキーパンチのルパン三世はこの映画の5年後に発表されているので、本作のほうが早いです。
モンキーパンチがこの映画を参考にしたのかどうかわかりませんが、多くの人がルパンと宍戸錠をリンクさせたのは間違いないでしょう。
女性を含めた4人組というのも似てますよね。
それとどうしても気になったのが、長門裕之です。
とにかく、桑田佳祐に似てるんですよ。
「あれ?」と思うこと必至です。
そして、宍戸錠が乗っているおもちゃのような車。
メッサーシュミットKR200です。
しっかり公道も走れます。
私生活でも当時の宍戸錠の愛車だったそうですよ。
さらに、左卜然とその妻・武智豊子。
「ゴミゴミして、うるさくて、色っぽいところ」じゃないと仕事ができないと言う原板作りの名人。
そして、ガンマニアの奥さん。
この名優2人が良い味出してます。
ある意味、最後にすべてをさらってますよ。
そしてそして、浅丘ルリ子がとにかく元気いっぱいで可愛いんです。
スタイリッシュで面白くてスピード感にあふれた一本を是非見てください。
損はしないですよ。