ホンダ・NSR50…2ストレーサーレプリカブームの有終の美を飾るバイクでした

NSRの末弟が発売されたのは1987年。

86年に登場したNSR250Rをそのまま小さくしたようなフォルム(カラーも含む)で登場しました。

エンジンだけが小さくなったのではなく、全体をギュッと原付車格に収めたようなデフォルメ感が特徴的。

どんなバイク?

NSR50のホイールサイズは前後とも12インチです。

こじんまりした見た目のかわいさとは裏腹に、走りの性能はレーサーレプリカそのものと言ってよいものがありました。

ツインチューブフレームに、スリムで長い燃料タンクなどは走り屋の魂をゆさぶります。

また、油圧ディスク式の前後ブレーキ、さらにはバンク角を稼ぐステップ位置など、装備は本気の走りを支えるものでした。

エンジンは、49ccの水冷2スト単気筒エンジンで、NS50Fや少し後のNS-1にも使われる自主規制値いっぱいの7.2psを1万回転で絞り出していたのです。

発売後、マイナーチェンジが1989年と95年に行われています。

といってもそれぞれカウルデザインを一新し、カラーチェンジと特別仕様車の設定があったぐらいです。

1999年のモデルとして、レプソルカラー(当時、WGPでホンダワークスのメインスポンサーだったスペインの大手石油会社)を設定したのを最後にラインアップから姿を消します。

すでにNS-1もカタログ落ちしており、NSR50を最後に、ホンダの原付1種フルカウルモデルは姿を消してしまいます。

ちなみに、NSR50の姉妹モデルとして、原付2種・79ccエンジン搭載のNSR80が存在していました。

NSR50と80のデビューは同時ではなく、NSR80の発売は、約5ヶ月遅れの87年11月でした。

NSR50のインプレッション

1980年代はバイクブームの中でもとりわけレーサーレプリカブームでしたね。

ロードレース世界選手権が多いに盛り上がっていた時代です。

F1ブームもそうでしたが、多くの人がレースに熱狂していました。

そのような中で登場したのがNチビとも呼ばれたNSR50です。

原付一種ですから、教習所に行かなくても学科試験一発で乗れるバイクです。

当時は、1時間程度の実技講習もありませんでした。

もっとも、3ナイ運動という逆風もあり高校生はバイクから締め出しを受けていた時代(16歳から免許が取れるという矛盾も…)です。

抑圧されると燃え上がるのはいつの時代でも同じです。

NSR50はミニサーキットや峠などで若者から熱狂的な支持を受けることになりました。

前述していますが、当時のレースマシン(といっても市販されたNSR50R)をギュッと縮小したモデルです。

縮尺レベルで寸分違わずということはありませんが、それでもスリムで長い7.5リットルのガソリンタンクなどは形状も含めて感涙ものでした。

ギアはもちろん6段変速ミッション。

さらに、一軸バランサーを内蔵しエンジン振動を軽減させることで長時間走行にも適したものとなっています。

原付レプリカで長時間走行なんて…と考える人もいたのも事実ですが、原付でここまでやってくれるとは…という声が多かったですよ。

原付でここまで豪華な作りは今後というかNSR50以降では皆無です。

まさにバブリーバイクとも言えますが、今となってはそれ以上の郷愁を誘うバイクでしょう。

NSR50のスペック

AC10型NSR50の諸元

画像は本田技研工業より引用
車両型式 A-AC10
お値段 269,000円
排気量 単気筒49cc
最高出力 7.2PS[5.3kW]/10000rpm
最大トルク 0.65kgm[6.4Nm]/7500rpm
30kmh燃費 59.2km/L
全長幅高 1580mm/590mm/935mm
面積&体積 0.932m²/0.872m³
地上&座面 105mm/670mm
車両重量 87kg
タイヤ 前:100/90R12 後:120/80R12
ブレーキ 前:ディスク 後:ディスク

最終型のカラーリングはレプソルカラーでした。

今でもホンダワークスで採用されているカラーです。

レプソルカラーのNSR50は垂涎の的でしたね。

最後の2ストレプリカという触れこみも手伝って最終型はおおいに売れたはず…。

今でも欲しいかと言えば欲しいですが、それより今の最新のバイクのほうがいいかな…。

当時以上に多くのバイクに乗ってきたので、おそらく今NSR50に乗っても、何か物足りなかったりいろいろネガティブなことを思ってしまうかも。

ある意味そんなことも確かめたくて乗ってみたいという気持ちは強くありますね。

記憶が希薄で、試乗したはずなのによく憶えていない…。

何かと勘違いしているのか…。

小さなレプリカは乗りにくいという印象がどのバイクに対してだったのかが思い出せないのです。

それでも、いろいろなバイクのある良い時代でした。

それが、現在に復活しているようなバイクブームが嬉しいですね。

内燃機関を積むバイクに乗れるのもあと10年くらいだとしたら、逃げ切り世代でもあるのですが、EVだらけになるような未来が想像できないんですよねえ…。

みんなのインプレッション

「速いけど改造すると強化クラッチ入れないと駄目!。ノーマルでも速いと思うけどパワー不足。パーツが高いと思う。もっと改造して速くして自分のテクも磨きたい。財布の中身が心配だけど・・・」

「レーサーに、なりたかった。50cc最速、多分最速、いや、最速に違いない。きっと速い・・・・まーこんなかんじで・・・・レプソルカラーが、GPを彷彿とさせる。レプソルカラーの、緑には,目をいたわれそうだったから?」

「私が生まれて初めて公道でエンジンに乗った(そういってもいいよな)思い出のバイク。このバイクでいっぱい怪我して、いっぱい汚れて、いっぱい罰金取られました(^^;。街で見るたびに「頑張れ」と声をかけたくなります。まさに私の教科書、師匠でした。今はいきなりリッターバイクにでも乗れるけど、最初に小さなバイクを経験しておくと、本当に勉強になると思いますよ」

「走る基本を学ぶには最適なバイクだろう。しかも50とは思えない程速い。残念ながら絶版だが、程度のいい中古があったら買って損は無いと思う。純粋に走る事を楽しめるマシンだ。」

「間違いなく原付最速!!発進と上り坂以外は完璧。 コレばっかりは排気量(パワー)の問題だからなぁ…」



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