江戸は谷中で用心棒稼業を営み、「閻羅遮」と畏れられる男、萩尾大楽。
家督を譲った弟が脱藩したことを報された彼は、そこに政争の臭いを嗅ぎ取り、裏の事情を探り始める。
そこで見えてきたのは、御禁制品である阿芙蓉(アヘン)の密輸を巡り、江戸と九州の故郷に黒い繋がりがあること。
大楽は弟を守るべく、江戸の裏社会や藩政の内部に巣食う、強大な敵に立ち向かっていく。
閻魔の行く手すら遮る男が、権謀術数渦巻く闇を往く。
遅くなりましたが。
いやー、面白かった。
少しずつ足先から作品世界に沈んでいき、気がつけばどっぷり。
さすがです。#谷中の用心棒#萩尾大楽#筑前助広 pic.twitter.com/s5R8r6aIAM— 綿涙粉緒@名湯『異世界の湯』開拓記(2)絶賛発売中!! (@KMenrui) March 4, 2022
著者について
福岡県福岡市在住。2020年、『それは、欲望という名の海』でアルファポリス「第6回歴史・時代小説大賞」特別賞を受賞。改題し出版デビューに至る。「時代小説にこだわり、時代小説にとらわれず」を モットーに、愛する時代小説に情熱を注ぐ。
「谷中で用心棒稼業をする萩尾大楽。その弟がとある事情で脱藩したことから、大楽の人生が大きな波に飲まれていくーー時代小説と言いながら、現代小説のような言葉遣いで、初心者にも読みやすくなっている。暴れん坊将軍もそうだけど、わかりやすくなってるのですんなり入り込める。時代小説だという石垣の高さがないゆえに、つまずきなく読めるのでおもしろいと心から言えました。ただこれ、一冊に凝縮されているのがすごくもったいない。上下巻でじっくり読みたかったのだけが心残りですね。それでもお気に入りの372ページは目に涙が浮かぶくらいの胸熱展開。時代小説初心者の私ですが、今後は時代小説を手に取りたいと思いました。兎にも角にも面白かった!」
「作者はネットの世界で音に聞こえた書き手だが、いわゆるネット小説の平均的作風とは大違い。本作もこれまで読んだいかなる時代小説より重心の低い、ずしりとした読み応えのある作品になっている。江戸と玄界灘とをまたいで蠢く大いなる欲と悪辣な謀略。一癖も二癖もある登場人物たちが次々と現われ、続々と死んで行く。まるで昔のギャング映画やフレンチノワールのような暗黒世界を、短い文章でバシバシと断ち切り、スピーディに物語を進めて行く。筆力凄い。もしかしたら、これがこれからの時代劇のスタンダードになるのだろうか。楽しみだ。とりあえず続編を強く熱望する。」
「読みやすいのに重厚感もある、硬骨の時代劇です。オススメ!」
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