カワサキW400…400ccバイクで感じるバーチカルツインエンジンの鼓動

W400は2006年3月に登場しました。

すでに人気大型バイクとして8年を経ていたW650の中型免許(普通二輪免許)版といえるモデルだったのです。

エンジン排気量以外の外観はそっくり。

ただし、低いシート高(W650は800ミリ、W400は765ミリ)で、レトロな車体ふくめて、女性ライダーに好まれる要素を持っていたのです。

発売期間は3年の短命に…

399ccの排気量を持つエンジンのボア×スロトークは72ミリ×49ミリで、W650の72ミリ×83ミリと比べると、ボア径が同じでした。

このことから、W400のエンジンは、ショートストロークバージョンだったことが分かります。

モデル終了は2009年4月の「ファイナルカラー」(モデルイヤー上は2008年)。

W650と同じタイミングで幕を閉じたのですが、発売期間は3年という短命に終わってしまいました。

そして、W650にとってのW800という後継モデルが誕生したのですが、W400には登場しなかったのです。

若干の違いはあっても、見た目だけでは400と650の違いを見つけるのは難しいものがあったのも事実。
※サイドカバーの「W400」の文字でわかりますが…。

重量もほぼ一緒ですから、大型免許を持っている人にW400を購入するメリットはほぼありません。

車検費用を含めた維持費もほとんど変わりませんからね。

それでいて、馬力の違いから乗った感じはやはり別物です。

以上のことから、(当然ですが)普通二輪免許所持者のための『W』であったことは間違いありません。

それでもW400に乗る理由

外観はほぼ同じでも、乗った感じは違います。

これはW650に乗っている人であったら、かなり違って感じるようで、人によっては「別物」なんて思う要です。

というのも、既出していますが、フロントフォークやリアショックのストローク量は10mm短縮されています。

そのため、シートの厚みを薄くしたことでシート高は、W650の800mmから35mm低い765mmとなりました

この差はかなり大きいですよ。

また、シートの厚みを薄くしたのは、ロングツーリング派にとっては乗り心地という点ではマイナス材料となってしまいました。

ハンドルですが、グリップ位置で約25mm低く、幅は50mm狭いサイズとなりました。

さらに、インチパイプではなくφ22.2mm径パイプを採用しています。

ポジション的にはかなりコンパクトな印象ですね。

シート高の件もあり、女性をターゲットにしたのでは?という憶測は的を得ているのかもしれません。

W650のようなバイクを普通二輪の免許で…という要望があったのは事実です。

ただし、熱烈な要望というよりも社交辞令にも似た感じだったのでしょう。

それでも、カワサキはW400を出しました。

そして、販売実績としては「売れないバイク」となってしまったのです。

W400に乗った感想としては、車体の重さから安定感もありツーリング向きではあるし、男性にとってコンパクトなポジションは、前傾姿勢も相まって峠が楽しいバイクとなったのも事実。

ツインエンジンですから、シングルのどんつきもなく街乗りユースにも最適です。

何より、普通二輪の免許でバーチカルツインの鼓動を楽しめるのが一番のメリットと言っていいでしょう。

普通通二輪免許で楽しむ名車Wの血統
ここ数年、バイクシーンではクラシカルなモデルの人気が高まっています。

カワサキではZ900RSなんかが最たるものでしょう。

常に最先端を追求するハイスペック・モデルも良いのですが、1960年代を思い起こさせるような、テイスティィな乗り味やクラシカルなバイクが数年おきに注目が集まります。

W400は欲しくても中古車でしか入手ができませんが、あればついつい気になってしまうバイクですね。

W650は1998年に発表され、名車W1をほうふつとさせる美しいルックスと高い完成度で高い人気を勝ち取りました。

その後、10年に渡って安定的な人気を誇ったのも記憶に新しいところです。

そこで気をよくして普通二輪免許で乗れるW400を出したということですね。

見た目の違いはそんなにない…なんて書きましたが、W400最大の特徴は美しいスタイリングです。

特に、W400のクロームメッキバージョンを所有している人は一生ものでしょう。

今考えてみると、400ccクラスのバイクで、これほどメッキの質感にこだわったモデルは後にも先にもW400だけです。

カワサキ開発陣は心血を注いでほとんどゼロからW650を作り上げたといいます。

その情熱がW400にもしっかりと受け継がれているのは間違いないでしょう。

そして、Wならではの特徴といえば、空冷4ストロークSOHC4バルブ バーチカルツインエンジン。

これを400ccエンジンで実現しているところも特筆すべき点です。

しかも空冷なのでスタイリッシュなんです。

古き良き時代を思い出し、W400の造形美にほれぼれする…乗るだけではなく所有する喜びを満たしてくれるバイクであることは間違いありません。

W400のスペック

EJ400A型W400の諸元

画像はカワサキモータースジャパンより引用
車両型式 BC-EJ400A
お値段 650,000円
排気量 直列2気筒399cc
最高出力 29PS[21kW]/7500rpm
最大トルク 3.0kgm[29Nm]/6000rpm
60kmh燃費 35.0km/L
全長幅高 2175mm/855mm/1115mm
面積&体積 1.860m²/2.073m³
地上&座面 125mm/765mm
車両重量 209kg
タイヤ 前:100/90R19 後:130/80R18
ブレーキ 前:ディスク 後:ドラム

個人的にはセンタースタンドがないのがデメリット…W650には付いてますから。

何もかもW650と同じと思ったら小さなショックを受けるので、W650とは別物という気持ちが大切です。

それと、W400にキックは付いていません。

オプションで装着可能でしたけどね。

『W400キックスターターKIT』です。

値段は34,400円…パーツ代のみです。

工賃を入れると確実に総額で4万円超えるでしょうね。

みんなのインプレッション

「以前からW650に興味があったが、仕事の都合で大型免許を取る時間がとれなかった。 そんなところにW400が発売された。とにかく、その造形美。完成されすぎていて、いじる気にならない。あとでカスタムし ないで済むことを考えると、実は SR400やCB400SSより、リーズナブルな価格である。 SR400買うと、たいていの人は自分スタイルにしたくなって何十万もカスタムにお金をかけますから。」

「かなり低重心で、乗りやすい。足つきもよく、楽に乗れる。とにかく運転していて安心 感がある。」

「遅い遅いといわれているが、それは400ccマルチや大型とくらべるから。 いままでそういうバイクに乗ったことがない人は、気にならない。(私がそう。)また、高回転へ回し気味のほうがパワーが出る特性だということを理解して乗った方がいい。W400は「古いバイク風の見た目の、現代のバイク」である。低回転でバタバタと加速する 過去のWや、W650とは違うと言うことを、はっきり割り切って乗る方が楽しくなる。
発進時のクラッチミートは2000回転くらいで。ギアチェンジは4~5000回転まで回してから。」

「表情豊かなエンジン。トップ1500回転からぐりぐり加速して行く。3000~4000回転ぐらいでは、とても心地好い振動を楽しめる。さらに回転が上がると、振動は減っていきます。馬の数なんか気になりません。気持ちよく走りたい人向け。」

「中型限定のインプレです。650とかと比べちゃいけません。免許取得後20年様々なバイクに乗り続けてますが、W400ほどしっくりきたバイクははじめてです。他者(他車)と競う事は一切考えてないようなバイク。自分のペースで走るとじわじわ幸せな気持ちになれます。癒し系です。決して遅いわけではないですよ。尖がった所がないだけです。後20年経ったら大型取ろうかな。それまではW400で良いや。」

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