ホンダ・フュージョン(FUSION)ビッグスクーターの先駆的存在

1986年に発売された250ccスクーターです。

「FUSION」は、英語で「融合」や「結合」を意味しています。

理由は、スクーターの気軽さと、クルマの快適さを兼ね備えたモデルとして開発されたからだそう。

どんなバイク?

なんといっても特徴的なのは、1.6メートルを超えるホイールベースでしょう。

当時のスクーターカテゴリーの中では画期的なフォルムでした。

ビッグスクーターと言われるようになったのは、ライバル車種が出始める後年です。

当時先行して販売していた250ccスクーターでは、同じホンダのスペイシー250フリーウェイがありました。

後にフリーウェイに改称されるスクーターですが、フュージョンはそれともまったく異なるスクーターでした。

特に目を引いたのは大型の段付きシートでしたね。

リアシートの後部には、クルマのリアトランクのように開くトランクルームがありました。

この広大なトランクルームが後に大きな意味を持ってくるのです。

1994年にはシート表皮などが豪華なフュージョンSEも登場。

一方で、フォーサイト(97年)、フォルツァ(2000年)など、同じホンダ内で250ccスクーターが増えていく中で一旦ラインナップから外れます。

しかし、折からの「ビッグスクーターブーム」の中で、絶版となっていたフュージョンの人気が再燃。

スポーツ志向のフォルツァやマジェスティとは異なる独特のスタイル、そして「LPレコードが入るリアトランク」がポイントだったようです。

そして、2003年から再びカタログモデルとして復活します。

ライトカスタムされたタイプXもラインナップされます。

再びスクーターブームをけん引する存在となったのですが、基本設計が古く生産も長くは続きませんでした。

素の「フュージョン」は2004年モデルまで設定されていましたが、フュージョン・シリーズとしては、2006年9月発売のフュージョンSE・20thアニバーサリーで生産終了となったのです。

フュージョンのインプレッション

ビッグスクーターブームが起こったのは2000年代です。

フュージョンの誕生は1986年ですし、後継車と言われるフォーサイトが登場するのは1997年のことです。

フォーサイトが後継車といって、そのフォルムはかなりこじんまりしたものでした。

まだまだビッグスクーターブームが起こる前の時期です。

フュージョンも一部のユーザーには人気があっても、ブームと言えるほどの売れ行きではありませんでした。

実際に登場から10年間君臨したフュージョンもフォーサイトの登場で静かにラインナップから消えてしまいます。

とはいっても、当時はビッグスクーターの選択肢がなく、市場ではフュージョン一択といってもいい状況でした。

ポジションも楽、運転も楽ということで公道でもよく見かけたものです。

友人が持っていたので何度も乗ったことがありますが、やっぱり楽でしたね。

後のビッグスクーターが乱立する中で、それらと比べてのシート高が低く、両足を前方に投げ出すようなライディングポジションになります。

最初は、不安定な感じがしたのですが慣れてくるとこちらのほうが断然しっくりくるのです。

ビッグスクーターのほとんどが、足を投げ出せるような形状に作ってあるのに、膝を畳んで乗っている人が多いのがいつも気になってましたね。

余談でしたが、乗り味のほうは「バイク界のクラウン?」というくらいでした。

振動も少なく乗り味抜群。

これはロングホイールベースの賜でしょうね。

思った以上に大きく見えるので一見して乗りにくそうに誰もが感じると思います。

しかし、乗ってみると足つきも良いですし安定感もあるので、最初に感じるとっつきにくさがどこかに吹っ飛びますよ。

当時は、こういったビッグスクーターが他にないのが不思議でした。

逆に言ってしまえばフュージョンの独壇場だった時代ですね。

とはいっても、すごく売れたバイクというわけではなかったはずですが…。

フュージョンのスペック

MF02型フュージョンの諸元

画像は本田技研工業より引用
車両型式 MF02
お値段 499,000円
排気量 単気筒244cc
最高出力 20PS[15kW]/7500rpm
最大トルク 2.2kgm[22Nm]/5500rpm
60kmh燃費 45.5km/L
全長幅高 2265mm/745mm/1355mm
面積&体積 1.687m²/2.286m³
地上&座面 145mm/665mm
車両重量 168kg
タイヤ 前:110/100R12 後:120/90R10
ブレーキ 前:ディスク 後:ドラム

後継のフォーサイトが登場したときに静かにホンダのラインナップから外れた印象です。

10年近く発売されてきたのになんとなく扱いが雑だな…なんて思ったものです。

逆に知らない人もいたくらい、末期のフュージョンの人気はそれほどでもなかったのでしょう。

特徴的なのはデザインですが、それくらいしかアピールポイントがなかったとも言えるバイクです。

とても好きなデザインでしたが、当時は族車のイメージがつきまとったのもフュージョンを不幸にしたかもしれませんね。

乗った感じも至ってマイルドでした。

尖った印象がありますが、ほんとにスムーズに加速していきます。

ビグスクブームの中で再販されますが、特に仕様が変わったわけではなく、その時点としては古くささも否めませんでしたね。

というよりも、以前のままでの再販だったら最新のビグスク買うよな…という感じでした。

友人のフュージョンを散々乗ったので、一台スクーターが欲しいと考えたときの選択肢はフォーサイトでしたね。

今では、ビッグスクータのブームも終わってビグスク自体を見ることも少なくなったのですが、数少ない目撃回数の中で、フュージョンが多いと感じるのはやっぱり最終的な勝者はフュージョンだったのかもしれません。

みんなのインプレッション

「雨の日の通勤用セカンドバイクとして購入。当時はマジェスティ/スカイウエーブ/フォーサイトなどが発売されておらず、大型スクータというジャンルでは選択の余地がありませんでした。強いて言えばフリーウェイがありましたが、タンデム前提だったことこ、ハンドルマウントのスクリーンのため眼中にはありませんでした。
飽くまでフラットな乗り味。ゆったりしたポジション。動力性能をとやかく言わなければ1000km/dayくらいはなんとかこなせるでしょう(実績有り)。トラディショナルな格好(昔は未来的に見えたのだけれど)。そこそこ使えるトランク。前後で段差の大きいシート。低中速では抜群の防風効果。真夏でも熱気が来ない構造(トランクは蒸し風呂状態になりますが)。」

「荷物がたくさん積める。燃費がいい。ビックスクーターの中で、絶版になったということで、その大きさとともに優越感にひたれる。カスタムする気になる。」

「ホイールべースが長く、重心が低いので走行が安定している。低速時でも慣れればふらつかない。悪いと言われている旋回性も意外に悪くない。(無茶さえしなければ)リアフットブレーキはほとんど車感覚!!  米5Kgが余裕で入るトランク。豊富なカスタムパーツ。アメリカンと並んでも見劣りしない大きいボディ。 視認性が良く、近未来風なデジタルメーター。面の部分が多いのでステッカーチューン が楽しめる。 ファッションを選ばないスタイル。ライダージャケットで乗るも良し。カジュアルでも良し。スーツでもOK。 とにかく加速がスムース。」

「ポジション、乗り心地、走行性能全てにおいて、日常の範囲内では実に安楽。ショートスクリーンだが、下半身の防風効果は良く、11月現在十分に暖かいと感じる。軸距が長く安定性良し。以前のアコード、レジェンド等を思い出させるホンダらしいデザインがどことなくアメ車っぽくて気分はキャディラック! ツルッとした仕上げの他のスクーターに比べシートがフカフカで良い。メーター回りはまさに独特 のフュージョンワールドがある。ジェッペルもシールドを外せば二つきっちり入るトランク(Arai、Y’s GEAR2個可)。」

「20年以上前に設計され、以来大きな変更もなく造り続けられたフュージョンに今更言う事はない が・・・
・楽な運転ポジションで緊張を覚えない(当方身長165cm)。
これは低いシート高、足元の広さ、ハンドルとの位置関係等全体としてバランスが良いのだろう。
・ロングホイールベースとしなやか(?)でレトロな足回りで、乗り心地が良い。勿論、せいぜい80km位迄話ですが。
・後輪のフットブレーキは、通常バイクにも乗る自分に取ってはありがたい。もし、これが他のスクーターと同じ左手のハンドブレーキだったら、購入しなかっただろう。
・何かほのぼのとした旧友の様な愛着感をおぼえる。」



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