2ストロークバイクといえばヤマハ…というイメージになってしまいますが、ホンダも常にヤマハに対抗すべく2ストバイクを量産してきました。
NSRといった名車ではヤマハ2ストバイクを凌駕した時代もあったのです。
特に90年代は2ストバイクの最後の火花を散らすような競争の時代でした。
それよりも遡ること30年の1960年代。
ホンダが他社2ストバイクに対抗するべく投入したのがエルシノアMT250でした。
本格2ストデュアルバーパスバイク
エルシノアMT250と聞いただけでは、それがどのようなバイクか想像がつかないでしょう。
エルシノアMT250は1973年に登場しました。
総排気量:248cc
エンジン形式:空冷2ストピストンバルブ単気筒
乾燥重量:118kg
当時価格:20万8000円
外観からも分かるようにMT250はデュアルバーパスバイク(モトクロスバイク)です。
1960年代のホンダは4ストエンジンでモトクロスレースにも参戦していました。
しかし、その時代に急速に発展した2ストエンジンを積んだバイクに苦戦を強いられていたのです。
モトクロスレースでは車重の軽さが絶対条件…それは今も昔も変わりません。
車重の軽さとピックアップの良いエンジン特性といった点で、当時の4ストエンジンは2ストエンジンに劣っていたのはあきらかでした。
これは、アップダウンの多いモトクロスのコースレイアウトでは致命的でもあったのです。
当時の主要輸出国でもあった米国の営業サイドからの要望もあり、当時の2ストエンジン2強と言われたヤマハ・スズキ、さらには欧州の2ストオフロードエンジンに対抗できる2ストエンジンの開発が急務となったのです。
「やるからには世界一のバイクを…」
当時の本田宗一郎の言葉だったそうです。
CR250MをベースにしたデュアルバーパスモデルエルシノアMT250は1973年5月に発売となりました。
どんなバイク?
エンジンの吸入方式は6ポートのピストンバルブ。
放熱効果に優れたアルコンシリンダーを採用しています。
フレームはコンピュータ解析したスチール製クレードルタイプを採用。
オフロードでの高い走破性を実現しました。
MT250のスペック
Honda ELSINORE MT250 主なスペック
全長×全幅×全高 | 2160×890×1130mm |
乾燥重量 | 118kg |
エンジン形式 | 空冷2ストピストンバルブ単気筒 |
総排気量 | 248cc |
ボア×ストローク | 70.0×64.4mm |
圧縮比 | 6.6 |
最高出力 | 23PS/6500rpm |
最大トルク | 2.6kgf・m/5500rpm |
燃料タンク容量 | 8.5L |
変速機形式 | 5速リターン |
タイヤサイズ(前・後) | 3.00-21・4.00-18 |
ブレーキ形式(前・後) | ドラム・ドラム |
当時価格 | 20万8000円 |
↓MT125の走行動画ですが雰囲気だけでも…
考えてみると70年代はオフロードバイクの時代だったかも。
この年代はかなりの数のオフロードバイクが誕生しています。
その人気ぶりがそのままバイクブームに繋がっていったのは間違いないでしょう。
ホンダ初の2スト車として希少性は抜群ですが、オフロードバイクなので程度の良いものは少ないでしょうね。
2ストバイクの扱いにくさを敬遠する声も根強く、同じ継投で4ストのXLのほうに人気が集まりました。