1970年代大型自動二輪の免許取得が困難な時代。
中免で乗れるバイクの最大排気量は400ccでした。
必然的に人気を博し、400ccバイクは売れに売れた時代です。
その中でホークⅡと呼ばれるCB400Tが登場したのです。
その当時でも、ホークⅡはクラシカルなフォルムから「おっさんバイク」と呼ばれてました。
1970年代から1990年くらいまでは熱病のようなバイクブームで、レーサーレプリカ全盛の時代でもありましたからね。
とはいっても、バイク全般が売れに売れた時代でもありました。
だからこそというかホークⅡも人気のバイクでしたよ。
余談ですが、同じようなクラシカルタイプのヤマハのSRもこの時期に発売されました。
ホークⅡってどんなバイク?
ホークⅡは4気筒400ccのバイクとして人気を博してCB400FOURの後継として登場しました。
エンジンは空冷2気筒となったのでダウンサイジングした形となりましたが、超ショートストローク設定が特徴で、3バルブヘッドを採用。
見た目よりもかなりアグレッシブ仕様だったのです。
そのため、最高出力はFOURよりも4PS高い40PSです。
当時の400としては最高レベルに近い出力でした。
外観の特徴としては、丸いタンクが目を引きます。
コンパクトでずんぐりとした印象を受けるのですが、これがまた味があるんですよ。
見た目以上に注目したいのが、足回りにコムスターホイールを採用していること。
これが、キャストの剛性とスポークのしなりの両立を狙ったもので「お、意外と走るんじゃない?」みたいな思いを掻き立ててくれます。
ちなみに、1977年に月刊『オートバイ』で開催された第一回JAPAN BIKE OF THE YEAR(当時企画名は国産人気車ベスト10)。
ここで記念すべき初ウィナーとなったのがホークⅡですよ。
特徴的な空冷2気筒エンジン
CB400Tの「T」はツインの意味です。
大型バイクに乗りにくい時期、400ccバイクに全てを求めた時代。
だからこそ4発400ccバイクが流行ってくるのですが、そのときに敢えてホンダはツインエンジンを出してきました。
もちろん、4発バイクもたくさん出していたので、ユーザーの選択肢を広げる意味でも喝采を浴びるバイクでした。
特にCHC3バルブという当時としてはユニークな機構となった空冷2気筒。
パワフルかつスムーズに吹けるエンジンも人気でした。
フォルムをしておっさんバイクと言われましたが、空冷エンジンのコンパクトさも好評でしたね。
マスの集中を狙ったレイアウトはコンパクトにしっかりとまとまっています。
また、CDI点火など当時の最新技術もさりげなく導入されていました。
ハンドリングの良さもあって乗りやすいバイクでしたよ。
ホイール径はフロント19・リア18インチ。
マフラーは中間にチャンバーを備える左右2本出しで、キャブレターはCVタイプを2連装しています。
タンクの形状から、初代ホークⅡは「ヤカンタンク」の愛称で親しまれていました。
発売翌年の1978年にはタンク形状が変更され、本記事赤いタンクの写真のやや角ばった形状になりました。
また、それと並行してFVQダンパーで足回りも改良されていったのです。
気になるスペックはこうだった
ホンダ「CB400T ホークII」主なスペック
全長×全幅×全高 | 2150×840×1180mm |
ホイールベース | 1390mm |
最低地上高 | 165mm |
車両重量 | 181kg |
エンジン形式 | 空冷4ストOHC並列2気筒 |
総排気量 | 395cc |
ボア×ストローク | 70.5×50.6mm |
圧縮比 | 9.3 |
最高出力 | 40PS/9500rpm |
最大トルク | 3.2kgf・m/8000rpm |
燃料タンク容量 | 13L |
変速機形式 | 5速リターン |
キャスター角 | 27°0′ |
トレール量 | 100mm |
タイヤサイズ(前・後) | 3.60S19-4PR・4.10S18-4PR |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・ドラム |
当時価格 | 31万9000円 |
CB400T ホークⅡの思い出
空冷であること、そしてツインエンジンなので400ccとしては小振りな見た目です。
とはいっても、SRなどのビッグシングルと比べると一回り大きな印象となります。
女性にも乗りやすいバイクかなと思いますが、当時はいかんせん女性ライダーはほとんどいませんでした。
乗りやすさから一定期間は教習車に採用されたこともありましたね。
4気筒のCB400FOURの後継車でありながら、2気筒にダウンサイジングされたエンジンは、逆にエンジン出力が1割アップの40PSになりました(FOURは37PSと36PSの2モデル)。
400ccのミドルクラスは2気筒のほうが速くて効率がいいのでは?というホンダの思想の現われだったようです。
左右2本だしのメガホンタイプのマフラーは賛否があったのですが、コムスターホイールは良い感じでした。
気になる燃費は街乗りでは18km/l、ツーリングで22km/lくらいでした。
良いバイクで、発売初年度は国産人気車ナンバーワンにもなったのですが、そこから暴走族御用達バイクになったのが残念でした。
その後ホークⅢ、スーパーホークⅢといった走りに特化したバイクが出たので、ホークⅡは急激に人気を失っていったような気がします。
昨今のGB350の人気を見ると、ホークⅡみたいなスタイルのバイクも周期的に復権するような感じですね。
ホークⅡが現在街中を走ってみてもそれほど違和感はないかもしれません。
本当に郷愁を感じさせるバイクですね。