VTR1000F…新設計の995cc水冷4スト90°V型2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載。
登場は1997年のことです。
前年の1996年9月から教習所で大型二輪免許の講習が始まり、ビッグバイクブームが始まった中でのことでした。
どんなバイク？
FireStorm（ファイアーストーム）というサブネームがかっこいいVTR1000Fです。
新しく設計された995ccの水冷4スト90°V型2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載したモデルとして、1997年に登場しました。
既出の通り、大型二輪免許の実技講習が教習所で始まった翌年の狙いすましたような発売となりました。
もちろん、逆輸入車というのではなく、国内仕様としての発売です。
Vツインの魅力はなんといっても低速域からのトルク感でしょう。
日本仕様となると、特にそれが顕著になります。
大口径キャブの採用で、低速から中速域での鼓動感はなかなかのもの。
そこから、高速域までスムーズに吹けあがります。
車体も特徴的で、「スイングアーム・ピボットレスフレーム」構造を採用していました。
これは、スイングアーム（←フレームではありません）をエンジン後端にマウントするものです。
また、VTR1000Fはマイナーチェンジを繰り返し熟成されていったバイクでもあります。
2001年モデルでは平成11年排出ガス規制に適合するため、二次エア導入装置を採用。
プラス2リッターの燃料タンク容量のアップ…これはツアラーには嬉しい仕様変更でしたね。
さらに、ハンドルグリップ位置のアップ（+16mm）も行われました。
サブタンク付きのリアショック採用（これは日本仕様のみ）もされています。
ユーザーの要望を受けた形なのか、様々な仕様の充実化が図られたのもVTR1000Fの特徴でした。
それが2003年でカラーチェンジしたのちに日本市場のラインナップから消えてしまいます。
ちなみに、VTR1000Fを改めて調べていたら、北米での名称が“SUPER HAWK996”。
ホークの血統だったとは…初耳でした。
系譜としては繋がらないんですけどね。
VTR1000Fのインプレッション
日本仕様となると馬力が絞られるのが常ですが、海外向けは110psで日本向けは93psということで、思ったほどの馬力差はありませんでした。
とはいっても、100psを越えることはなかったのはいつものことでしたね。
ハイパワーもいいのですが、大排気量バイクの魅力は低速からのトルク感に尽きると思います。
特に日本向けの場合、日本の道路に合わせるとなると馬力よりもトルクですよね。
Vツインのリッターバイク、スーパースポーツ仕立てのロードツアラー…いろいろな言い方があるのですが、ツアラー風味なのが一番しっくりくるかも。
前傾がきつそうに見えますが、跨がってみるとそうでもありません。
乗ってみても、適度に風を抑えてくれますし、その感覚は高速道路に乗ると顕著に感じることができますよ。
こういった系のバイクを試乗するのは「こかしたら…」なんて不安になるものですが、足つきも良く軽く感じて乗りやすいバイクでした。
試乗なので攻めるような乗り方はできず、公道をゆっくり走った程度ですが「やっぱりVツインいいな…」なんて思ったものです。
その気持ちを大切にして、都度バイクを乗り換えてたらこれまでどれだけの数のバイクのオーナーになってたんだろう…と思いますね。
もっとも、無い袖は振れないので妄想だけで済ましてますが…。
といったことで、VTR1000Fも欲しいなと思ったバイクでした。
VTR1000Fのスペック
| SC36型ファイアーストームの諸元 | |
|---|---|
 画像は本田技研工業より引用 |
|
| 車両型式 | SC36 |
| お値段 | 870,000円 |
| 排気量 | V型2気筒995cc |
| 最高出力 | 93PS[69kW]/8500rpm |
| 最大トルク | 8.7kgm[85Nm]/7000rpm |
| 60kmh燃費 | 22.1km/L |
| 全長幅高 | 2050mm/710mm/1155mm |
| 面積&体積 | 1.456m²/1.681m³ |
| 地上&座面 | 135mm/810mm |
| 車両重量 | 215kg |
| タイヤ | 前:120/70R17 後:180/55R17 |
| ブレーキ | 前:Wディスク 後:ディスク |
乗りやすいバイクでしたが短命でしたね。
Vツインでリッタースポーツという位置づけがいけなかったのかも…。
良いバイクで欲しいなと思ったバイクでした。
試乗しただけでもあったので、スポーツとして、あるいはツアラーとしては物足りない部分があったのかもしれませんね。
全てを標榜して中途半端に仕上がったバイク…なんてことはないと思うのですが、スポーツならスポーツ、ツアラーならツアラーに特化したほうが売れやすいのかも。
オールラウンドなバイクに憧れるバイク乗りも多いと思うのですが。
みんなのインプレッション
「鼓動の低速・ぶっとい中速・血の下がる高速と、 どこでも楽しめるエンジン。 初代ＶＴの血統は脈々と受け継がれています。コーナリングは最高。トラクションがきっちりかかれば（つぼにはまれば）・・・(^^)(^^)」
「良く曲がる。前に乗っていたＶＦＲ４００Ｒ以上の気がする。エンジンも下はドドドド、上はバイーンてな感じでＧｏｏｄ。」
「個人的な好みに成るかもしれないけれど、フロントが、軽い！！！ お前は、トレール車かと言いたいほど軽い。信号からのスタートダッシュでフワリ。高速のギャップでフワリ。ウエットの下りの継ぎ目でスルリ。インライン４しか乗った事の無い人は面喰らうだろう。このキャラクターに馴染む事が、出来れば最高に面白い。」
「他のリッターバイクに比べると比較的安めの価格。コーナーでは驚くほど良く曲がる車体。」
「やっぱりツイン独特の鼓動感。ポジションもワリと楽。まだ慣らしちゅうだけど3000回転まででたらたら走ってても充分GBよりも速い！・・・当たり前？。コーナーリングがスムーズ。何よりもかっこいい！！！」
