ホンダ・RVF400…僕らのV4公道レーサー

ホンダRVFは、1994年1月に発売されました。

V型4気筒エンジンを搭載したレーサーレプリカモデルです。

VFR400R(NC30型)がモデルチェンジするかたちで登場したもので、RVFには「NC35」という型式が与えられました。

VFRとRVFというネーミングは混同されがちですが、VFRのほうがネームバリューでは上でしょうか。

ネーミングが似ていることから、区別するために型式名で呼ばれることも多かったようです。

実際「これNC35?」なんて言葉を聞いたことがあります。

どんなバイク?

「レーサーレプリカ」と表記しましたが、400ccクラスのワークスレーサーだったRVF400が活躍したTT F-3というクラスは、NC35登場時にはすでに終了していました。

そのため、厳密には400ccレーサーのレプリカというわけではありません。

同時期の1994年1月に限定販売された750ccクラスのレーサーレプリカRVF/RC45の中排気量版レプリカという位置付けが正解といっていいでしょう。

それはカウルデザインからも明らかでした。

排気量399ccの水冷4スト90°V型4気筒DOHCのエンジンは、1982年デビューのVF400F以来受け継いできたNC13E型です。

RVFでは吸排気の効率を向上させる仕様変更を受けていたのです。

また、6速ミッションのうち、1~3速をローレシオ化することで公道レーサーとして扱いやすさを向上させています。

そして、クラッチプレートの枚数を従来の10枚から9枚に減らすことで、操作負担も軽減させているのです。

また、フロントフォークは倒立タイプとなり、フロントブレーキは異径4ポット対向キャリパーが採用されていました。

登場から大きな仕様変更もなく1996年のカラー変更が最終仕様となりました。

それでも、1999年ごろまではメーカーカタログにラインナップされていたようです。

ホンダによる正式なモデル名は、単に「RVF」となっていますが、750ccのRVF/RC45との混同を避けるため、排気量を付けることが多いのですが、前述したようにRVFに詳しい人や造詣の深い人の間では、やはり「NC35」と呼ばれていますね。

RVF400のインプレッション

登場にあたり、レーシング仕様をそのまま市販することではなく、公道を走るにふさわしい新設計フレームが採用されました。

もちろん倒立フォークなどのテイストはそのままで、前後タイヤを17インチ化することなど、ハンドリングの向上などもしっかりと行われています。

どうせならレーサーのまま出して欲しかった…なんて声もあったようですが、サーキットを走るためだけに設計されたバイクと公道を走るバイクは根本的に違います。

レーサーのままだとしたら公道ではとても走れたものではないでしょう。

ハンドルの切れ角なども全く違うので交差点を曲がるのでも四苦八苦すること間違いなしです。

レーサーレプリカの本領は見た目がそのものだということに尽きます。

市販するにあたりヘッドライトは当然付けられるのですが、伝統の丸目二眼も好評を持って迎えられました。

また、ブレーキシステムの変更などもしっかりと行われています。

価格は当時としては決して安くはありませんでしたが、それでも78万円です。

同時期に登場したRVF750(RC45)が200万円だったことを考えると破格の値段だったとも言えます。

しかし、NC35は大コケしてしまいます…。

1994年にはレーサーレプリカブームはとっくに去っていたのです。

ですから、一部のユーザーには好評ではあったのですが、「この時期に…」という声が多かったのも事実。

懸念は現実となってまったく売れなかったのです。

そこそこ売れた…とも言えなかったようですから相当の販売不振です。

400ccクラスでは当時自主規制があったにしても53psはがんばったと思うのですが、それも物足りなかったようです。

一番の敗因は、91年にTT-F3の400ccレースが終わっていたことが大きいと思います。

NC35は登場した時点でレーシングマインドをフォーカスできるようなレースがすでに無かったということですね。

レースでも市場でも需要のないバイクを出したホンダ。

一説には最後のミドルV4レーサーの花火を打ち上げた…ということなのですが。

RVF400のスペック

NC35型RVFの諸元

画像は本田技研工業より引用
車両型式 NC35
お値段 780,000円
排気量 V型4気筒399cc
最高出力 53PS[39kW]/12500rpm
最大トルク 3.7kgm[36Nm]/10000rpm
60kmh燃費 30.0km/L
全長幅高 1985mm/685mm/1065mm
面積&体積 1.360m²/1.448m³
地上&座面 120mm/765mm
車両重量 183kg
タイヤ 前:120/60R17 後:150/60R17
ブレーキ 前:Wディスク 後:ディスク

V4独特のトルク感がありました。

当時試乗したのですが、多くの試乗要望がありなかなか順番が回ってこなかった記憶があります。

大人気だな…と思っていたのですが、後にこれほど売れなかったのか…とも思った次第。

おそらく人の興味が当時流行のネイキッドに移っていたのも大きいでしょう。

個人的にはレプリカの時代は80年代でしたね。

教習所のコースでの試乗だったのですが、みんな直線でガンガン飛ばして急制動から交差点をクルッと右左折。

そんな操作をしても挙動に安心感がありました。

お店のスタッフも「直線はしっかりスピードを出してください」と煽ってましたね。

S字も教習所時代とは全く違って「こんなスピードで抜けるんだ…」なんて感動したものです。

自分の技量も上がっていたとは思うのですが、RVFの性能によるものも大きかったでしょう。

それを言っている時点で、バイクに乗せられている自分の技量を呪ったほうがいいのですが。

公道では、RVFを見たことはありませんでした。

やっぱり売れなかったんだなあ…。

みんなのインプレッション

「バイク屋さんに遊びに行ってる間に乗りたくなり免許取得。レプリカに乗りたかった為、クラス唯一のV4エンジン、8耐のイメージなど。初心者でも乗りやすいバイクだと思います。ツーリングでも、峠でもといった感じです。」

「トルクフルでよく回るエンジン。比較的コンパクトで、よく曲がる車体。独特のV4サウンド。特に10000回転付近からの音の変化が、レーサーになった気分にさせてくれます。長距離のツーリングには向きませんが、走りを楽しめるバイクです。」

「スリップオンサイレンサ-をポン付けしただけで、メ-タ-読み*40Km/hを記録。 限りなく高剛性&しなやかフレ-ム。加えて倒立サスがこれまたイイ!曲がる、曲がりすぎる!!うひょ-! ヘッドライトがノ-マルでも非常に明るい。 事故っても、しっかり大事な所を守ってくれる良く考えられたカウル類&補器類。 なんといっても低重心。エルフと共同開発プロア-ム。 実に精度の高いパ-ツ群。どんなに飛ばしても燃費がイイ。V4は燃費が悪いと言ってる奴等は整備不足。」

「加速が速い。街乗りでも楽しい。山道だともっと楽しい。とにかく曲がりが安定してるってのが第一印象。回せばパワーがあふれてくる感じ。バリューンっていうエンジン音。ポジションも意外にらくちん。倒立プロアームが目立つ。高い速度域でも大安定。こける要因がみつからないよ。ほんと。」

「ポジションがコンパクト。(NSRとあまり変わらない上、前傾が楽。)高回転まで使いきれる適度なパワー。見た目の雰囲気。取り回しが楽。NC30とは比べ物にならない程軽いクラッチ。さんざん回しても10km/lを切ることのない燃費。コケない限り壊れそうもない信頼性。」

「マシンを使い切る楽しみを味わいたいなら、かなりお勧めの1台。スーパーバイクに興味のある人なら、結構雰囲気も味わえます。 パワーや速さを求めるならあまりお勧めできません。いじってもリッターマシンにはかないません。素直にR1かファイヤーブレードにしましょう。」



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