ホンダMBX50…すべてを超越した2スト水冷50ccバイク

MBX50は1982年3月に発売された。

50ccでありながら本格的な車格と質感を備えたロードスポーツバイクです。

前身となったのは、79年登場のMB50…これはホンダ初の2スト原付スポーツでした。

MBX50では、エンジンは水冷式となり、フレームはセミダブルクレードルタイプになりました。

型式は似ていてもMB50とは全くの別モデルといっていいでしょう。

どんなバイクだった?

時はまさにバイクブーム真っ盛りです。

現在の10倍以上バイクが売れていた時代です。

そのような中に登場したMBX50。

基本コンセプトは、ツーリングにも疲れの少ないライディングポジションを追求、1,255ミリのロングホイールベース設計としたのです。

50ccでツーリング…というのも本気で考えられていた時代でしたね。

その証拠にガソリンタンク容量も12リットル。

フロントフェンダーもエアガイド付き。

リヤカウルと一体化したウインカー、テールランプなどもかっこよかったです。

存在感を一段と強調していたバイクでした。

人気を博したので、1984年のマイナーチェンジではアンダーカウルが追加されたりもしました。

また、フロントディスクブレーキ、リアプロリンクサスを採用して、走行性能や制動についてもしっかり対応していたバイクです。

50ccバイクでも走りを追究するのは当然の時代だったのですね。

ただし、ミッションは初期型は6速でしたが、マイナーチェンジ後は5速にダウングレードしています。

このとき同時にパワーもダウンしています。

50ccバイクに限らず、熱病のようなバイクブームの中でパワー競争やスピード競争に自主規制が求められた時代でもありました。

ところがホンダ以外のメーカーが出力を変えずにリミッターで速度規制対応したのです。
※これは簡単にリミッター解除できます

それに対して、ホンダは出力や減速比等で速度制限を行った結果、販売不振に陥ってしまいました。

その結果、他メーカー同様の対策に変更、7.2psに1985年にMBX50Fとして再登場させたのは有名な話です。

MBX50のインプレッション

当初、MBXはカウルなしでほぼ上記のスペックで、AC03 MBX50として出たんだけど、

1984年、世論によって牙を抜かれ、というかへし折られ、CDIによる電気式リミッターではなく、5速で5.6馬力にデチューンし、SWE MBX50として販売された。

けど、他メーカーが電気式リミッターでエンジンスペックそのままで比肩モデルを出してたから、当然みんなリミッター切って走る。

その結果、そもそも遅いMBXは売れなくなる。
で、結局MBXもスペックを戻し、電気式リミッターつけて、ついでにフロントカウルつけて、MBX50Fとして売り出したと。

MBX50Eで終わっていたら、NSR50はおろかNS-1すらも遅いバイクになっていたかもね。

MBX50のスペック

型式 AC08
フレーム セミダブルクレードル
製造期間 1982年-1989年

全長×全幅×全高 1,920mm×675mm×1,105mm
シート高 770mm
地上最低高 165mm
ホイールベース 1,255mm

乾燥重量 82kg
重量重量 95kg

パワーウエイトレシオ 11.39kg/PS

エンジン 水冷2サイクル クランクリードバルブ単気筒 49cc (1984年までAC03型 1984からAC08E型)

ボア×ストローク 39.0×41.4mm
圧縮比 7.3
最高出力 7.2PS/8500rpm (1984年~)5.6PS/6500rpm
最大トルク 0.65kgw-m/7,500rpm (1984年~)0.63kgw-m/6000rpm

始動方式 キック

燃料タンク容量11L(1984年からは12L)
エンジンオイルタンク容量 1.2L
定地燃費 65km/l (30km/h走行時)

タイヤサイズ前2.50-18 4PR 後2.75-18 4PR

当時400㏄クラスで絶大な人気を誇ったCBX400を模した大柄なスタイルが人気でした。

1982年、まさにバイクブーム最盛期です。

各メーカーがこれでもかというくらいに排気量・カテゴリ毎でニューモデルを発売していた頃です。

もちろん原付スポーツバイクも例外ではありません。

MBXに続いてヤマハがRZ50 、その数か月後にはスズキがγ50を発売するなど、今では考えられないような競争の時代だったのです。

多くの人がMBXが原付60㎞速度規制のきっかけになったバイク…なんて言っていますが、当時の過当競争などを見ても必然の結果とも言えます。

第一どんなにすごい原付マシンが出ても公道は30km/hでしか走れないのですから。

今では、状態の良いきれいなMBXを手にすることはほぼ不可能でしょう。

それは逆に、その時代を存分に駆け抜けていた証拠でもありますね。

自分で所有したことはなく、それでも周りにMBX乗りが多かったので気軽の乗らせてもらってました。

音がうるさい…くらいのイメージしかなかったのですが、CB50よりは確実に速かったのがうらやましかったです。

みんなのインプレッション

「50ccのくせに、やたら速い。そして、ものすごくスピードを出している気にさせる。二人乗りできる長いシート(もちろん違法ですが、検挙件数ゼロでした)。地味ーなカッコ良さがある。運転が楽しい。とにかく軽い。くさってもHONDAのバイク」

「ノーマルで90kでる!メーターが夜は緑色でかっこいい!長距離ツーリング余裕!2スト独特の7000回転からの加速がしびれる!メンテしやすい!構造が単純なのでいじりやすい!(50全部?)50CCに見えない!規制前なのでノーマルで90キロメーター!タンクが12lといっぱい入るので一度満タンに入れてしまえばしばらく入れなくていい!」

「50にしては、早い。法律では、禁止されてるけど二人乗りできる。CBXに似てる。よく 250ccクラスのバイクに見られる。とにかく乗りやすい。」

「初めて乗った変速付きバイク。 コレのおかげでバイクの面白さを知った記念すべきバイクです。 当時は原付の規制の直前、90㎞のメーターを軽々振り切って友人のRZやRXとよくつるんで走り回っていました。 さすがにそこまで出すと、原付では少し怖かったですけどね(笑)。 変速付きバイクに慣れるにはちょう …」

「良く回る45psの4スト250より、ポテンシャルを引き出して早く走るのは楽。パワーバンドキープするだけですから。コーナーは、軽さがものを言うので、当然コーナリング中の速度は稼げるし。面白いエンジンでした。」



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