AR50…ライムグリーンの末弟カワサキの50ccバイク

ロードレースモデルのようなバイク…という位置付けで販売されたモデルがカワサキAR50です。

1970年代後半に起こった原付バイクブーム。

スクーターが主流だった市場で、50ccのスポーツバイクは瞬く間に人気となった時代です。

熱病のようなバイクブームをけん引したといってもいいでしょう。

その中でも、AR50はカワサキが50ccバイクを出した…ということで大きな注目を浴びたモデルです。

どんなバイクだった?

50ccながらカワサキライムグリーンのボディ。

さらに6速MT仕様は、原付といっても人馬一体となって運転することに憧れる当時の若い世代を中心に支持されました。

何よりもカワサキが50ccを出した…というところに注目が集まったのです。

AR50はカワサキ初の50ccスポーツバイクとして、1981年4月に発売されました。

ロードレーサーのKR250やKR350のイメージを投影したモデルでしたね。

空冷2スト単気筒エンジンで7.2psを発揮。

常に最速を標榜するカワサキも50ccクラスでも本気を見せたと言えます。

6速ミッションを組みあわせ、リアサスにはユニトラックサスを採用。

フロントブレーキは画期的ともいえる油圧ディスク式でした。

思い出すのは、KR50登場の2か月後には、ヤマハからRZ50が登場しています。

レーサー由来のゼロハンスポーツです。

カワサキがAR50をだしたから対抗したというわけではないのですが、原付クラスで激しいバトルが勃発したのは間違いありません。

83年にはビキニカウルを備えたAR50Ⅱとなります。

このとき、自主規制によってエンジン出力を下げたのは残念でした。

走りを意識したフォルムだったのに内実はパワーダウンになったからです。

84年モデルのAR50Sでは、ビキニカウルはそのままにで再び7.2psに戻ります。

そして88年モデルまで生産されます。

RZ50やRG50ガンマといったライバルが水冷エンジンだったのに対して、AR50は、最後まで空冷エンジンを搭載しました。

このエンジンは、ミニ・スーパーバイカーズモデルとして人気となるKS-1(1988年)にも採用され、そのDNAを後世に残します。

AR50のインプレッション

当時それほど親しくない知人がAR50に乗っていました。

そのバイクに乗りたくて、なんとか共通の友人を介して乗ることに成功。

跨がった瞬間に思ったことは軽いバイクだな…ということ。

それでいて、加速は他の50ccクラスとは別次元でした。

パワーもそうですが、トルクもクラストップでしたから、ドッカン加速といった感じです。

当時は原付免許でしたから、50ccバイクしか乗ったことがなく、その速さに衝撃を憶えました。

CB50がかすんで見えるくらいでしたからね(4ストと2ストなので比べるべくもないですが…)。

当時、一番遠い存在だった「カワサキ」ってすごいなと思ってましたよ。

AR50のスペック

全長×全幅×全高:1,830×625×970(mm)
軸間距離:1,195mm
乾燥重量:72kg
エンジン形式:空冷2ストロークピストンリードバルブ単気筒
排気量:49cc
ボア×ストローク:39×41.6(mm)
圧縮比:8
最高出力:7.2ps/9,000rpm
最大トルク:0.62kg-m/8,000rpm
燃料タンク容量:9.6L
発売当時価格:15万3,000円

カワサキARシリーズは、50ccのAR50のほか、80ccのAR80、125ccのAR125がラインナップされていました。

原付3兄弟として人気でしたね。

というよりも、80年代は原付ブームでもあったので、それまで50ccバイクは見向きもしなかったカワサキもブームに乗った…という感じだったのでしょう。

もっとも、AR80やオフロードモデルもあったので参入に対しての開発上の障壁は少なかったと思います。

空冷2サイクルピストンリードバルブ単気筒エンジンを搭載していたのが特徴です。

50ccクラスでは最高の7.2psをマークしたのも負けず嫌いのカワサキらしいところですね。

足回りにはカワサキ独自リアサスペンションである「ユニトラックサスペンション」を採用したのも興味深いところでした。

悪路走行などでも力が発揮できるよう設計されてましたよ。

みんなのインプレッション

「カワサキ初の2サイクル50ccロードスポーツ。緑のタンクとゴールドのキャストホイールがイカス!エンジンは本当 に下の方からトルクがあって乗りやすい。しっとりとしたハンドリングで直進性が良い。コーナーではユニトッラク サスが踏ん張り、楽しめるバイクだ。」

「空冷エンジンではあったが、ダレることもなくよく走る。50ccロードスポーツ に水冷なんか必要なのか、と思うほど。乾燥重量は72kgと最軽量(のちにガンマが69kgで登場した)なので楽々 と持ち上げて向きを変えることが出来た。最高速はメーター読みで90km/h。」

「MBとの比較になるが、リアスタイルの貧弱さ、エンジンのカバーにプラスチックを多用してあったりと「金属の質 感」に乏しい。また、エンジン音はモーターのように静かでエキサイティングな雰囲気を味わうことは出来なかっ た。荷物を積むところがまったく無いので、背中に背負うしかない。」



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