1990年代のバイク業界最大のトピックは最高速競争だったのは間違いないでしょう。
時速300km/hの扉を叩いたZZR1100の後継バイクは、ネーミングを考えたらZZR1200。
しかし、2000年に登場したNinjaZX-12Rが最高速を継承したバイクだったのは間違いありません。
どんなバイク?
90年代の最速バイクは、ZZR1100でしたが、1996年登場のホンダ・CBR1100XXスーパーブラックバード、1999年に登場したスズキのGSX1300Rハヤブサにその座を譲ることになります。
しかし、常に最速を標榜するカワサキとしては、ZZR1100の後継車を開発していました。
それがZX-12Rです。
ハヤブサが最高速ツアラーとスーパースポーツの運動性を併せ持った、言うなればアルティメットスポーツ(究極形)と表されたのですが、12Rはそのハヤブサに立ちふさがるモデルでもあったのです。
1996年にはホンダからCBR1100XXスーパーブラックバードも登場しています。
2000年代初頭は、最高速競争が華やかなりし時代だったのです。
12Rは特にロントカウルの前面に突き出たラムエア用のダクトが印象的でした。
そこから吸入されたエアは、1,199cc水冷直4ユニットに178psの最高出力を与えたのです。
この出力はハヤブサを3ps上回るものでした。
市販車として初めてアルミモノコックのフレームを採用したのも12R。
ちなみに12Rは“じゅうにあーる”と読むのが一般的です。
しかし、最速を標榜するあまり初期型はかなり尖った味付けのバイクでした。
特にスカスカの低速はなんとかしてほしいという声が多く、2002年のモデルチェンジではかなり扱いやすい仕様変更になっています。
12Rをこれから手に入れる機会があれば、このモデルチェンジ後のタイプかどうかは要チェックしましょう。
12Rは比較的短命でした。
2006年型をもって生産終了となったのです。
後継車はZZR1400となります。
※ZZR1200というバイクが12Rの同時期に存在していました。ZZR1100の正当的な後継車なのですが、1200のほうはツアラー向きの味付けになっていて、最速バイクではありませんでした。これもちょっと不遇なバイクでしたね。
ZX-12Rのインプレッション
ZX-12Rを一言で語ると、“過激な戦闘機”“スパルタンバイク”といった勇ましい声が聞こえてきます。
強烈な印象のフロントマスク、そして怒濤の最高速と加速性能がそう言わせているのでしょう。
カワサキのキャッチフレーズも“20世紀最高のスーパースポーツ”でしたからね。
最高速については世界最速でなければ気が済まないカワサキ…。
ZZR1100はかなり長い間、世界最速の称号をほしいままにしていたのですが、ホンダからスーパーブラックバード、スズキからハヤブサが登場して、内心穏やかではなかったでしょう。
排気量はハヤブサよりも100cc少なかったのですが、ショートストロークの高回転設定で、ハヤブサの175psを上回る178psを叩きだしました。
スピードメーターは驚きの350km/hまで刻まれていました。
車体はアルミモノコックフレームという軽量素材を使用し、乾燥重量でもハヤブサよりも5kg軽量となったのです。
間世界最速の座を取り戻した形となった12R(厳密にはハヤブサと両雄並び立つ形です)ですが、その地位もつかの間でした。
というのも、2001年から欧州で300km/hリミッター装着の自主規制が始まったのです。
ここで、最速競争は終焉を迎える形となりました。
現実問題として最高速が新幹線より速いのは現実離れしていますから、これは当然の処置と言えるかもしれません。
最速競争が終わると、今度は快適性を重視した形で進化していくことになります。
2002年のモデルチェンジでじゃじゃ馬な乗りっぷりがかなりマイルドになりました。
後継バイクはZXー14Rになりますが、ピュアスポーツ的な性格の12Rは今なお人気モデルとして、中古市場で君臨してますね。
ZX-12Rのスペック
全長(mm) | 2,085 |
全幅(mm) | 740 |
全高(mm) | 1,200 |
シート高(mm) | 820 |
軸距(mm) | 1,450 |
車重(kg) | 210 |
エンジン | 水冷4スト並列4気筒 |
排気量(cc) | 1,199 |
最高出力 | 178ps/10,500rpm |
最大トルク | 13.6kg-m/7,500rpm |
タイヤ | F=120/70ZR17 R=200/50ZR17 |
試乗したこともなく、それでもツーリング仲間に12R乗りがいたので穴の開くまで観察しました。
見た目以上にコンパクトなんですよ。
跨がった感じも軽く感じて乗りやすい印象です。
しかし、スロットルを開けたら凶暴なバイクに豹変するのかと思ったら、“乗ってみる?”という言葉に応えることができませんでした。
その当時はZZR1200に乗っていたので、大型バイクに対する恐れみたいなものは払拭していたのですが、自分のバイクならともかく、他人の大型バイクは気疲れしますからね。
それと12Rは、怖いイメージが先に立ちすぎてました。
今は、そのとき乗らせてもらっておけばよかったかなとちょっと後悔…。
みんなのインプレッション
「驚異の加速力。最高速も含め、黒鳥を確実に凌ぐ。軽い。走行、取り回し、共に軽快。防風性能が秀逸。液晶パネルは優れ物。」
「とにかく明るいライト。夜でも安心してスロットルを開けることが出来る。 超高速域でも安心してかけることの出来る強力なブレーキ。勿論エンジン。最高の一言に尽きる。高回転での吹けあがりは異常だ!そしてその時に奏でるエンジンの音。素直な足回りにもかかわらず、豪快な乗り味。」
「ライトが明るい。エンジンが1200なのにストレスなしに回る。ポジションも思ったほどきつくない。」
「やはりメガスポーツ最高峰に乗っているという優越感。他のバイクから一目置かれている・・・ような感じ!? ハザード標準装備。」
「高出力、高トルクのエンジン。ちょうど良いフレーム。ちょうど良いブレーキ。」