トリッカーは2004年3月に発売開始されました。
型式名はXG250です。
シティユースでありながら、“BMXのような感覚で自在にアクションできる”というのが売り文句…だったような気がします。
オフ車をここまで洗練させることができるのか…というくらいやっぱりヤマハはすごいなという印象を当時は持ちましたよ。
どんなバイク?
エンジンは、249ccの空冷4スト単気筒SOHCです。
これは、セロー250と共通(エンジン型式G340E)であるため、「セロー250ベースの~」とされることが多かったですね。
ただし、セロー250の発売は2005年4月なので、トリッカーXG250の登場のほうが早かったのです。
ヤマハが意図的に発売時期をずらしたことと、セローのほうが知名度が高いので、セローベースというのもあながち間違っていないのかもしれませんが…。
セローもトリッカーも共通の要素が多いので姉妹モデルであることは間違いないでしょう。
それでも、トリッカーのほうがBMX志向を前面に押し出していたのは、セローよりも短いホイールベースや細い(さらに小さい)燃料タンクに表れていました。
2005年には、トリッカーXG250S(型式にSが付いた)として、標準モデルよりも凝ったカラーリングバージョンが追加されました。
大幅なモデルチェンジは2008年1月のこと。
ここで排出ガス規制をクリアするためにフューエルインジェクションが採用されました。
そして、燃料タンクも6リッターから7.2リッターに拡大されています。
長年タンク容量が小さすぎると言われてきたので、モデルチェンジに合わせて変えてきた形ですね。
さらにこのときシートの厚みも増しています。
こうして、トリッカーもふだん乗りに使える普通のバイクになった形です。
ちょっとした変更のように見えますが、外観がガラッと変わった印象に感じた人も多かったようですよ。
それ以降、型式がXG250に戻ったり、いったんカタログ落ちしたのにすぐに再登場したりと迷走を繰り返します。
ただし、その再登場版がファイナルエディションになりました。
トリッカーのインプレッション
軽量・スリム・コンパクト
トリッカーを語る上でよく言われる言葉です。
それにさらに“スタイリッシュ”という言葉を使ってもいいでしょう。
とにかくかっこいいのです。
基本フレームはオフ車仕様なので頑健です。
それでいて軽量化も実現しているのですから、扱いやすいバイクとなっています。
バイクはキャブ車だよね…古いバイク乗りは念仏のように唱えるのですが、FI化したトリッカーは最高ですよ。
キャブ仕様のトリッカーは始動性がお世辞にも良いとはいえませんでした。
それがFIになると、嘘のように始動性が上がりアイドリングも安定しました。
始動即GOみたいなことも平気でやってくれます。
アンチ電子制御みたいな声もよく聞かれますし、どちらかというとそっち派なのですが、FI化されたトリッカーに乗ってみると、“やっぱりこっちかな”なんて思いましたね。
仕様変更が行われるとバイク性能はどんどん向上していきます。
そういうのもあったと思うのですが、トリッカーを買うならできるだけ末期のモデルのほうがいいですね。
これは、どのバイクでも言えることですが。
トリッカーのスペック
DG32J型トリッカーの諸元 | |
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画像はヤマハ発動機株式会社より引用 |
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車両型式 | 2BK-DG32J |
お値段 | 467,640円 |
備考 | XG250 |
排気量 | 単気筒249cc |
最高出力 | 20PS[15kW]/7500rpm |
最大トルク | 2.1kgm[21Nm]/6000rpm |
WMTC燃費 | 38.7km/L |
全長幅高 | 1980mm/800mm/1145mm |
面積&体積 | 1.584m²/1.814m³ |
地上&座面 | 280mm/810mm |
車両重量 | 127kg |
タイヤ | 前:80/100R19 後:120/90R16 |
ブレーキ | 前:ディスク 後:ディスク |
セローの生産終了と同時にひっそりと終わりました。
セロー歯大々的にファイナルエディションを発表したのに対して対応が雑だなと思った次第。
売上台数の桁が違うでしょうからしょうがないのかもしれませんが、トリッカーの持つスタイリッシュさが好きでしたね。
街乗りも林道も行けてなおかつかっこいいバイク。
ライディングウェアにも気を使いたくなるバイクでした。
保有したことはなく、試乗や友人のトリッカーに乗せてもらったくらいですが、素直なハンドリングとキビキビした加速が印象に残っています。
セローのエンジンなのに速くない??なんて思ったものです。
一部では大人気だったようですが、地味な存在だったのはヤマハもそれほど本気で売る気がなかったのかな。
セローが本命でしたからね。
みんなのインプレッション
「取り回しなどが非常に楽に出来て力の弱い人などにも比較的楽に扱えるのではないかと。また足つきも非常によく自分(170cm、58kg)の場合は両足がべったりでひざにはまだまだ余裕があります。エンジンも低速トルクが結構豊かなのでのんびり走るには非常にいいと思います。ハンドリングも特に癖がなくU ターンなどもフルロック状態でも非常に安定してすることができます。」
「スペックからは想像できない御機嫌なトルクがある。そしてフロントブレーキの効きがいい。」
「コンパクトでチョイ乗りにも使える。かっこいい。機敏。ウイリー、ジャッ クナイフがしやすい。二人乗りもしやすい。」
「加速感はかなりいい。出足は最初びっくりするくらいある。振動もよく抑え込んであるほ うだと思う。随所にプラスティックが使われており、コストダウンが見受けられるが、ヤマハらしく質感は高い。」
「単気筒の単車に乗って見たい人ならオススメ。バランスもよく取り回しがしやすい。足つ きもいいし、おもちゃ感覚で普段の足となるはず。個人的にはエンジンとの統一感を感じ るフレームがシルバーの方がトリッカーの塊感のあるデザインをよりよく見せてくれる気がする。ま、好みの問題だけど。」