新型ハヤブサが登場して国産メガスポーツに脚光が浴びせられています。
特に多くのバイク乗りから好感をもってハヤブサが受け入れられているのはとても喜ばしいことです。
ここでは、初代ハヤブサ登場の前後から新型(3代目)ハヤブサの登場まで、ハヤブサ以外の国産メガスポーツの系譜をご紹介します。
300km/hを標榜した最初のメガスポーツ『カワサキ ZZR1100[C]』
新時代の到来を感じさせた高性能メガスポーツの誕生は1989年のカワサキからでした。
それ以前から大型バイクを作り続けてきたカワサキ。
硬派なイメージから『男カワサキ』という言葉も定着していた時代です。
それだけに、最高速度を常に目指すバイクづくりにファンの目も釘付けになりました。
それ以前から、『Ninja』の称号でGPZシリーズなどを出してきて、遂にZZRで夢野300km/hの扉を叩いたのです。
それまでのモデルとは桁違いのパワー。
そして、高速性能によって、300km/h時代の幕開けとなったきっかけのバイクです。
実際には300km/hには到達しなかったのですが、スピードメーターは余裕の300km/h超えの目盛りが刻まれていました。
これだけでも、当時のバイク乗りはしびれたのです。
最高速だけではなく、一般的な峠道、さらにはクイックな峠道や街中でも、オールマイティにこなせるメガスポーツでした。
『ZZR1100[D]』
C型からさらに熟成されたのがD型です。
ZZR1100の2型D型は、外観的に人気の高いモデルでした。
当時も現在も大型バイクの多くは海外で生産されています。
そのため、多くの大型バイクは日本メーカーのバイクでありながら輸入車としての位置づけなのです。
『逆輸入車』という言葉を聞いたことがあるでしょう。
ZZR1100の最終型であるD型は、動力性能といった基本的な部分ではC型と変わらなかったのですが、D型になってハンドリング性能が向上。
さらに、旋回製も強力になりました。
コーナリング性能が随分とアップして、日本の道にジャストフィットした形となりました。
ホンダが送り出した世界最速車 『CBR1100XX スーパーブラックバード』
1996年、ホンダにとって久しぶりの世界最速車となったCBR1100XXです。
当時の量産車の中で最もパワフルな164psを発揮しました。
とはいえ、XXは単純な速さに特化したモデルではありませんでした。
安全性や快適性を高める装備として、足まわりには前後連動ブレーキのD-CBS。
独創的なピック・ア・バック式ヘッドライトには照射面積を広げるフリーフォームリフレクター。
エンジン内には振動緩和用として、二輪車の世界では初となる2軸2次バランサーを採用しました。
それでいて、乾燥重量は先代のCBR1000Fより26kgも軽い223kgとなったのです。
スーパーブラックバードの登場は、「最強、最速」を謳ったもので、ZZRキラーと言われました。
ZZR同様、走る場所を選ばないモデルで逆輸入車でありながら、日本の道路にマッチしたのです。
但し、ホンダメガスポーツとしてはスーパーブラックバードで打ち止めの形となったのは寂しい限りですね。
世界最速を取り戻す刺客『カワサキ Ninja ZX-12R』
ハヤブサに世界最速を奪われた形となったカワサキ。
常に世界最速を標榜しているカワサキが黙っているはずもなく、送り出したのが『Ninja ZX-12R』です。
スペックは、ハヤブサと同様でしたが、エンジンのスムーズさと伸びで勝ったバイクでした。
もちろん、300km/hオーバーマシンです。
ただし、12Rの初期型は最速にこだわったあまり、じゃじゃ馬的な性格で扱いにくいといった面もありました。
すぐに改良型が出て、性格が円くなったのですが、スピードもリミッターを効かすようになり、ここに世界最速競争は終わりを迎えることになりました。
というよりも、300km/hオーバーを迎えた時点で最高速競争は無意味なものになったというのが本当のところでしょう。
とはいっても、後期型の12Rはスポーツ性能に長けていて、深いバンク角とフットワークの軽さで魅力のあるモデルとなりました。
戦う姿勢を止めないカワサキ
ホンダはスーパーブラックバードでメガスポーツを打ち止め、スズキはハヤブサの改良型で世界最速性能を維持。
ヤマハは独自の道を歩むなか、カワサキはメガスポーツの開発を止めません。
ZZR1100の後継として登場したZZR1200は、どちらかというとツーリングマシンとしての位置づけになり、メガスポーツとしては12Rが担っていました。
しかし、ZZR1200とZX12Rの生産終了を迎えてしまうのです。
そうなるとどうなったのか…。
ZZR1400の登場です。
すでに2005年の東京モーターショーで発表されていたので、発売も時間の問題とされていました。
最高出力は190ps。
驚異的なスペックを持つモンスターマシンとなったのです。
すでに、最高速チャレンジは終わっていましたが、パワーといった面でハヤブサを大きく凌駕したのです。
そんなモンスターマシンを扱いきれるのか…。
しかし、実際に乗ってみると迫力のある外観と違って、動作はあくまでも軽快。
安定性にも優れ、ハイレベルな走行性能となりました。
そこから、カワサキのメガスポーツの系譜は続いていきます。
Ninja ZX-14Rを経て『Ninja H2 SX SE+』。
H2に至ってはパワーもさることながら価格が280万円超です。
要因はエンジンがスーパーチャージャー化されたこと。
さらに、電子制御サスペンションハイパフォーマンス・ツアラーとなったのです。
すでに、メガスポーツと言う言葉も使われなくなった感がありますね。