996に登場した初代とも言えるワルキューレは米国現地法人との共同開発でした。
スタイリングはGL1000同様クルーザータイプとしての登場でした。
フレームは新しい設計ではあったのですが、エンジンはゴールドウイングに搭載されていた、水平対向6気筒OHCエンジンを流用していたのです。
そして、2003年に登場したのが2代目とも言えるワルキューレルーンです。
初代とは全く違った近未来的なフォルムとなって登場したのです。
エンジンは新型ゴールドウイングGL1800と共通の1832cc水平対向6気筒OHCを搭載した姉妹車と言えるものですが、外観は全く違い、初代ワルキューレから大きなイメージチェンジとなりました。
日本国内では正式販売されなかった車種のまま2005年に生産終了となりました。
※2013年には3代目となるゴールドウイングワルキューレが発売されています。ここでは2代目ワルキューレルーンについてご紹介します。
超未来的な圧倒的フォルム
ワルキューレルーンを語るときに外せないのがそのフォルムです。
モーターショーなどでは、コンセプトモデルといった大胆なフォルムを持つクルマやバイクが発表されますが、ワルキューレルーンはそのフォルムそのもま製品化したようなデザインとなっています。
迫力ある『ワイド&ロー&ロング』は発売当時も注目の的でした。
美しくもワイルドな車体が目を引きます。
米国のみの発売で価格は27,000ドル。
日本では逆輸入という形で入手できましたが、日本での登録台数は足かけ3年で200~300台だったようです。
合理化された米国の工場でも1日の生産台数は20台…2年間の総生産台数は1,200台以下だったそうです。
特に手の混んだ部分がメッキホイールだったようで、米国ではできないと言うことで日本にホイールを送って、熟練職人に手作業で生産を依頼し、米国に返送したという手間もかけています。
そのときの手間賃は1セット1,500ドルだったそです。
どんなバイクだったの?
総重量が400kgにもなる車体は5250rpmで最大出力を発揮、4000rpmで最大トルクを発揮します。
低回転に特化したエンジンというのがわかりますが、気になるのは燃費ですね。
1800ccというエンジンを考えると実燃費が13~18km/リットルということでした。
低回転から発揮するパワーやトルク、排気量を考えると燃焼効率のよいエンジンと言えますね。
現在の技術で作るエンジンだともっと燃費がよくなるはずですが、そもそも燃費を気にするようなバイクではないでしょう。
そして、圧倒的なサイズ感…。
とくにロング感がすごいんです。
実際に跨がったことがあるのですが、タンデムシートがないのでシートがかなり後方にあるルイメージ(そもそもタンクが長い…)です。
そのため腕が伸びきるような感じですが、シート高が低いのでそれほど窮屈な印象になりません。
なによりも重心が前にいかずにどっしりとした感じはイメージそのままです。
重量感から押し歩きが大変なような気がしますが、アメリカンタイプのバイクはそもそも押し歩きをしません。
跨がって歩くのが基本なので体重をほどよく乗せることができるので、取り回しもそれほど苦にならないでしょう。
※GLと違ってバックギアは付いていません。
水平対向6気筒のエンジンは片側3気筒ずつの点火となります。
重低音の小気味よいエンジン音です。
重厚なイメージから走り出しは鈍重…なんてことはありません。
アクセルを開けると巨体を軽やかに前に押し出してくれます。
1832ccのエンジンはストレスなく滑らかに吹き上がっていきます。
どのギアからでも加速していく様は圧巻ですよ。
ワルキューレルーンのスペック
直線番長的なイメージを持つ人も多いでしょう。
米国での販売のみとなったワルキューレルーン。
広大な国土でどこまでも続く直線道路を疾走する姿が想像されます。
それでも、コーナーリング性能もなかなかのもの。
低重心であるがゆえにとても安定していて、適度なトルク感とわずかなリアブレーキを使ってワルキューレルーンはいともかんたんにコーナーをトレースしてくれます。
確かに、小回りをするようなシチュエーションは気を使いますが、そこは足を使ってヨタヨタと取り回しをしましょう。
基本スペック | |
排気量 | 1832cc |
エンジン | OHC水冷水平対向6気筒 |
車体重量 | 400kg |
最高出力 | 120ps / 5250rpm |
燃料供給装置 | インジェクション |
変速機 | 5段(MT) |
燃料タンク容量 | 23L |
駆動方式 | シャフトドライブ |
中古相場価格 (2019年現在) |
300~400万円 |
そういった様も絵になるバイクです。
ブレーキの性能には力を入れています。
何しろ巨艦ですから、止まりにくいなんてことになったら大変です。
パワーと重量に合ったブレーキングシステムはホンダならではです。
その点については安心していいでしょう。
ワルキューレルーンと言えば国内で唯一話題になったのが「仮面ライダー響鬼」で使われたこと。
ほとんどノーマルでの登場となりました。
これで人気爆発とならなかったのは浮き世離れしたフォルムが原因だったのかも…。
そんなワルキューレルーンの国内唯一のカスタムモデルと言われてるのがこちらです。
↑埼玉県のメーカー「ホワイトハウス」の手掛けたカスタム「Ryujin(龍神)」。
エンジン性能はそのままにコーナリング性能の見直しをされて、新たに造形されたカウリング、6本出しのマフラー、倒立サスペンション、アッパーカウルが迫力ですね。
みんなのインプレッション
「近未来的デザインで、まだ一度も同じバイクとすれ違ったことがない。出先では高確率で話し掛けられます。」
「しっかり売れてないとこまで含めて死ぬほど好き。是非また採算度外視のかっこいいバイクを」
「見た目の迫力さに反して静かでスムーズなエンジン。本家を越えた唯一のジャメリカンだと思う」
「これとブルバードM109Rはジャパンオリジナルなクルーザー」